関東大震災と向き合う1

「朝鮮人虐殺」と
私たちのいま

1923年9月1日午前11時58分、神奈川県・相模湾を震源とするマグニチュード7.9の大地震が起こり、関東一帯で死者・行方不明者10万人以上、全半壊・倒壊、焼失家屋計数十万戸という日本の災害史上最悪の事態となった。同時にこの混乱の中で軍、警察と暴徒化した群衆は多数の在日朝鮮人や中国人、社会主義者らを虐殺した。しかし、この歴史的事実でさえ、一部の歴史修正主義者らのヘイトスピーチでは「否定されている」のが「私たちの社会のいま」だ。連載1回目は、「朝鮮人虐殺」に焦点をあてる。

  • 出合いは山崎少年の「最も怖かった」色鉛筆画
    「虐殺絵」のバトンを受け取って
    新井勝紘

    関東大震災発生時、まだラジオもテレビもなく、首都圏の新聞は発行不能になる中で「朝鮮人が襲ってくる」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの流言飛語から起きた虐殺事件を、国立歴史民俗博物館のアーキビストとして、高麗博物館館長として、どう伝えていくか。新井勝紘・元専修大学教授(日本近代史・自由民権論)が、「文字資料だけでは歴史の真実に迫りきれない」とさまざまな絵画資料を探索、収集した成果を報告する。

  • 愼蒼宇・法政大学教授の話から
    朝鮮独立運動への弾圧が導いた虐殺
    聞き手/本田雅和(編集部)

    在日朝鮮人は三度殺された――愼蒼宇教授はそう語る。関東大震災時、祖父の兄の愼昌範氏は荒川・土手で自警団に捕まり、日本刀で切りつけられた。避けようと左手をかざしたときに小指を失った。親族3人を含む同郷の13人は同時期に殺されている。この家族の体験は、学問としての在日朝鮮人史を志した愼氏の原点でもある。日本の国家権力は、6000人以上の虐殺(一度目の殺人)を隠し続け(二度目の殺人)、今なお謝罪も補償も真相究明も責任者処罰もしていない(三度目の殺人)。

  • 「飯塚事件」再審請求審で新たな目撃証言
    「真犯人らしき男」の風貌は久間氏と別人 神原里佳
  • 強制送還を進める改正入管法が成立
    「自分は望まぬ本国へと送還され、
    逮捕や投獄されるのか」
    樫田秀樹
  • 【提携連載企画】
    保身の代償?長崎高2いじめ自殺と大人たち 第1部 共同通信編02

    「『長崎新聞』 さんの名誉を毀損したわけよ」 Tansa中川七海
  • オートマタ
    AIは電気羊の夢を撮れるか? 写真・文/梅谷隆介
  • 映画『世界が引き裂かれる時』の
    マリナ・エル・ゴルバチ監督に聞く

    妊婦はロシア・ウクライナ戦争を
    どう生きたか
    中村富美子
  • きんようアンテナ
    「大崎事件」4度目の再審請求を福岡高裁支部は棄却 粟野仁雄
    トランスジェンダーの弁護士に殺害予告 石橋 学
    女性航空自衛官のセクハラ被害訴訟で第1回口頭弁論 竪場勝司
    「どうする?原発のごみ全国交流集会」北海道で開催 稲垣美穂子
  • メディアウオッチ
    かんぽ生命保険の不正販売報じた番組に
    NHK経営委が厳重注意したことは「介入でない」と森下氏

    「郵政3社も視聴者」との強弁 臺 宏士
  • 青木理の温泉という悦楽(15)嬉野温泉の湯豆腐
    とろりとした湯に全身を委ね、
    とろけるような「湯」豆腐を味わえば
  • らんきりゅう(18)
    「軍拡より生活」のうねり、
    全国に広がる
    雨宮処凛
  • 暗夜胸に手をおいて 第二夜
    やがて明るい暗夜「航路」 安達茉莉子
  • くらしの泉
    【健康】
    WHOが勧告、人工甘味料で
    糖尿病のリスク高まる!?
    垣田達哉
  • 新・買ってはいけない(361)
    愛犬のダニ・ノミ除け剤は
    農薬なんですよ
    渡辺雄二
  • きんようぶんか
    【本】
    『3.11大津波の対策を邪魔した男たち』
    粟野仁雄
    『クィア・シネマ 世界と時間に別の仕方で存在するために』 五所純子
    『多情所感 やさしさが置き去りにされた時代に』 長瀬 海
    【映画】『アシスタント』 中村富美子
    【音楽】『LAR』 二本木かおり
    【美術】ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開
    セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ
    薄井崇友
    【TVドキュメンタリー】 ワタナベ=アキラ

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