私たちは先の戦争から何を教訓にすべきか

敗戦特集
戦争は
静かにやってくる

日本の敗戦から79年。日本の人口のうち、戦中・戦前生まれが占める割合は約15%(2020年総務省公表の人口推計)。戦争を知らない世代が社会の中心を占める中、戦争ができる国への準備は着々と進み、美化する動きさえある。一方、世界に目を向けると、ロシアの侵攻によって始まったウクライナ戦争は2年半近くが過ぎ、犠牲者は増え続ける。オリンピックに世界が浮かれている間も、ガザではイスラエル軍の攻撃で子どもを含む民間人が毎日のように死んでいる。私たちは先の戦争から何を教訓にすべきか。いまこそ考えたい。気がつけば、静かに戦争がやってきたとならないためにも。

  • 【「戦争ができる国」】四つの要素が揃って完成、日中戦争勃発時に酷似
    軍備増強に邁進する自民党と財界は
    日本をどこに導くのか

    山崎雅弘

    「戦争ができる国」は、軍事費の増大と軍備の増強、政界・財界・メディア業界による「挙国一致」の戦争支持、主要メディアの政府追従宣伝、政府に対して疑問を抱かず従順に従い続ける国民--筆者が指摘する「戦争ができる国」が完成する四つの要素だ。岸田政権下で日本は戦争の準備が「国策化」しつつある。

  • 【視覚障害者と戦争】基地や前線の医師不足を補う「海軍技療手」
    戦闘機の爆音をレコードでおぼえ
    「防空監視哨」に立つ

    古川晶子

    太平洋戦争中、障害者を「お国の役に立つ」道へ追い込み、その活動を「盲人でさへ挺身」と持ち上げる、社会ぐるみでの動員があった。2024年度から障害者の就労施設における報酬についての成果主義導入があり、戦時の障害者利用、動員を彷彿させる動きが出ている。戦時中の視覚障害者の状況について、長年にわたって研究する岸博実さん(日本盲教育史研究会事務局長)に聞いた。

  • 【戦前の「婚活」】優生思想を推し進めた重大な人権侵害
    「大東亜戦争」完遂、「健全人口」増やすため
    吉永磨美

    少子化解消を掲げ、婚活アプリの導入など、未婚の男女を引き合わせる自治体の官製婚活が盛んだ。婚活は現代に限らず、優生思想と相まって戦時中にも進められていた。戦前の公文書、書物をひもときながら、戦時の重大な人権侵害の元となった「優生思想」に焦点をあて、現代の人口政策を考える。

  • 【沖縄戦歪曲の危険】指揮した軍人と内務官僚
    美化する動きは戦争正当化につながる
    吉永磨美

    敗戦80年を目前に、沖縄の軍事化が着々と進んでいる。「戦場化前夜」の様相を呈する中、太平洋戦争末期の沖縄戦を指揮して「南部撤退」を決定し、住民を戦闘に巻き込んだ旧日本陸軍の牛島満第32軍司令官(当時)や島田叡県知事(同)。両人の「いい人」である、一面的な個人的エピソードを持ち出し、美化する動きがある。重大な人権侵害を引き起こした軍人や官僚の戦争責任をうやむやにしかねない動きに沖縄在住の研究者やジャーナリストらが警鐘を鳴らしている。

  • 【悪法・治安維持法】「法の支配」のもとに「法の暴力」を振りまく
    排外主義の沸騰を契機に
    「新しい戦前」は進行する

    荻野富士夫

    「天下の悪法」と評された「治安維持法」制定から来年で100年を迎える。当時の為政者に都合よく改変、解釈され、多くの市民が弾圧され、国家に忠誠を誓うように強制された。そしてここ数年、自民党政権は安保法制をはじめ、「機能的治安法令」として特定秘密保護法、共謀罪法などの法整備を進めている。「新しい戦中」が迫っている。

  • 【東アジアの安全保障】米軍独自の演習に自衛隊が初参加
    「一蓮托生」のつもりでも、
    米国の「捨て石」にされるかも

    布施祐仁

    6月に実施された、インド太平洋地域での紛争を想定した米軍の大規模軍事演習に、初めて自衛隊が参加した。日本国内でも共同訓練が行なわれたが、これは米空軍が中国との戦争を想定して策定した「ACE(機敏な戦力展開)」に基づくものだ。軍事問題に詳しいジャーナリストは、「台湾有事」が起きた場合、日本全域が攻撃目標になり得ると警鐘を鳴らす。

  • 【空襲やまぬウクライナの街】
    「英雄」遺族の人知れぬ苦しみ
    丸山博

    戦争は「最も愚かな出来事」。だが、ロシアの侵攻に対して、「勝つまで戦う」と志願して前線に行くウクライナの国民も多いという。戦火収まらぬ街に生きる人々の思いは苦渋に満ちている。

  • 平和を思う夏のTVドキュメンタリーと映画
    ワタナベ=アキラ
  • 【満州】映画『大日向村の46 年 - 満州移民・その後の人々』山本常夫監督に聞く
    現代への警鐘「満蒙開拓」
    平畑玄洋

    ドキュメンタリー映画『大日向村の46年 - 満州移民・その後の人々』(1985年)が、製作から39年の時を経て再び全国で順次公開される。大日向村(現・長野県佐久穂町)は38年、村の半分という大規模な開拓団を旧満州(中国東北部)に送り出し、満蒙開拓の「模範村」として国策を担った。映画は多くの証言から分村移民の実態に迫る。山本常夫監督(76歳)に映画を撮った経緯などを聞いた。

  • 不謹慎な旅(74) 現代に重ねた戦中戦後写真
    よみがえる戦争の亡霊 写真・文/木村 聡
  • 立憲と国民の「橋渡し議連」発足
    “泉健太ミッション内閣”の仕掛け人 宮崎信行
  • 岸田政権とは何だったのか
    6安保大転換
  • 対米追従、防衛産業との癒着 
    国民を闇に引きずるブラック・ホール 半田 滋
  • 「日本売り渡し」 その後に待ち受ける
    「台湾有事・即・自衛隊参戦」 前田哲男
  • きんようアンテナ
    嫡出規定の撤廃求めた違憲訴訟、東京地裁は請求棄却 室田康子
    旧優生保護法問題早期解決願い、最高裁判決後初の和解 岩崎眞美子
    在日外国人無年金問題解決に向け市民が要望書を提出 吉永磨美
    「模擬原爆」被弾犠牲者の追悼慰霊式を富山市で開催 藍原寛子
  • 【提携連載企画】
    誰が私を拡散したのか30
    解決策なき譲渡
    「そういうシステムが欲しいっていうんだから」
    Tansa辻麻梨子
    〈音声記録入手〉 ダイキン工業株主総会
    PFOA汚染への補償ないまま
    井上会長に43億円
    Tansa中川七海
  • 弁護士任官「どどいつ裁判長」の訴え(下)
    竹内浩史裁判官単独インタビュー
    「司法の危機」が裁判官たちに沈黙をもたらした
    佐藤和雄
  • らんきりゅう(32)
    理髪係が綴った東京拘置所のリアル 雨宮処凛
  • くらしの泉
    【健康】
    報告書で明らかになった 小林製薬の驚くべき実態
    垣田達哉

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