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ジェンダー情報

ハラスメント法整備
WiMNが院内集会

 日本にはハラスメント自体を禁じる法律の規定がなく、男女雇用機会均等法が事業主にセクシュアルハラスメント(セクハラ)防止措置を義務づけるのみ。現在、厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会では均等法改正議論が進められ、セクハラ対策も論点となっている。そこで、「メディアで働く女性ネットワーク(WiMN)」は8日、「セクハラ法整備を考える11・8院内集会」を衆議院第一議員会館内で開催。弁護士ら識者を招き、実効性ある法整備のあり方について話し合った。
 労働政策研究・研修機構副主任研究員の内藤忍氏は「均等法29条に基づくセクハラ措置義務違反の行政指導はできるが、訴える人がいないと指導が入らない。また行為自体が禁止されていないため労働局が禁止行為と判断できない。禁止規定と、それに基づいて労働局か独立した機関が禁止行為と認定できるしくみが必要」と発言。日本労働弁護団で、現在は出産を機に正社員から契約社員にされたマタニティハラスメント(マタハラ)案件の代理人を務める圷由美子弁護士は「裁判所は均等法を使わない。行政指導に使うもので自分たちの使うものではないという意識。同法の『関連指針』には出産理由で正社員の有期雇用への変更を強要することは許されないと書いてあるが、裁判所は、それは指針で司法をしばるものではないと言う。だからハラスメント禁止を法律ですることが必要」と法規制の必要性を主張した。
 労政審分科会の労働者側委員である連合総合男女・雇用平等局長の井上久美枝氏は今年のILO(国際労働機関)総会で「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約策定方針を確認し来年に条約採択を目指していることなども解説し「国内法整備は喫緊の課題。ハラスメント全般を規制する包括法の中にセクハラ、パワハラを規制する形が望ましい」などと述べた。候補者男女均等法成立に尽力した政治学者の三浦まり氏は経験を踏まえ「山への登り方はいろいろな道がある。セクハラ新法やハラスメントの包括的規制法をつくるか均等法改正か。閣法か議員立法かでもアプローチは異なる」と指摘。トークセッションでは「均等法は規制相手が事業主なのでセクハラをしてはならないという規定はおきにくい。規制を書いても裁判に使われないのでは意味がない」「事業主規制という均等法の理念を変えたらどうか」「抜本的改正が難しいなら新法をつくる方が早い」などの意見が交わされ、WiMN代表世話人の林美子氏は「問題点が指摘され論点が明確になった。今後も勉強を続けていく」と話した。

別姓確認訴訟
想田和弘監督が意見陳述

 選択的夫婦別姓を求め、映画作家の想田和弘さんと舞踏家の柏木規与子さん夫妻が国を提訴した裁判の第2回口頭弁論が11月7日、東京地裁で開かれた。夫妻は、米国ニューヨーク州法に基づき別姓で婚姻。法の適用に関する通則法第24条では、海外の現地法に基づく婚姻をした場合には日本でも婚姻が成立しているとみなされる。しかし同姓でないと夫婦としての戸籍は作成されないため、国内では戸籍で婚姻関係にあることを公証できない。これは立法に不備があるとして、婚姻関係の確認などを求め提訴したものだ(詳細は本誌6月22日号、7月6日号に掲載)。
 想田さんは意見陳述で「姓を統一したいという方々の意思は、当然のことながら尊重されるべきです。同様に、別姓のまま結婚したいという私たちの意思も尊重していただきたい」「理解に苦しむのは、私たちが別姓を選択しても他人の自由や権利が侵害されることはない、つまり公共の福祉に反しないのに、日本の法制度が別姓を選択する自由を阻んでいることです。それは憲法第13条に反しているといえるのではないでしょうか」などと訴えた。
 国側は民法750条の要件(同姓)を満たしていない夫妻は婚姻関係にあるという公証を受けられる地位にないという姿勢で、訴え自体が不適法であるとしている。しかし、この日は古田孝夫裁判長が国側に質問し、争点を明らかにするよう求めたため国側が慌てる場面も。裁判後、想田さんは、「国側がすごく慌てている感じで、ドキュメンタリー作家としてはカメラを回したいくらいでした。ああいうところに本質が表れる。本当は法律が矛盾しているのに、あらゆる詭弁で整合性をつけようとしているけれども難しいんでしょうね。それがビジュアルで見えました」などと感想を述べた。次回口頭弁論は1月23日の予定。

宮本有紀・編集部