983号
2014年03月14日
▼卒業式シーズンだ。東日本大震災から3年、あの春のにおいを思い出す。
わたしの子ども二人も小中学校をそれぞれ卒業する。同じ中学には被災地から転入された生徒さんがいたが、学校は休みがち、夏も詰め襟を身に纏う彼の話を聞く度に胸が痛んだ。新たなステップに向け、彼が確かな一歩を踏み出してくれることを心から祈っている。
息子の通うことになる高校で気になることがあった。公衆電話がないのだ。最寄りの場所を教師に尋ねたが、首を傾げるばかり。それならと最寄りの地下鉄の駅に駆け込んで駅員に尋ねたが、「すみません、ないんですよ」。
そうなると携帯をもたせるしかないのか、と愕然とする(私も持っていないのに……)。各地で公衆電話の撤去が進むが、NTT任せにするのではなく、災害時のライフラインのひとつとしても、自治体や公共機関で公衆電話の確保をお願いしたい。(小林和子)
▼「ウクライナ人は日本人が(チェルノブイリ原発事故のときに)ウクライナの子どもを救ってくれたことに感謝しています。今度は私たちがお返しをする番です」
緊張が続くウクライナだが、同科学アカデミーの衛生・医学生態学研究所のオルガ・ティムチェンコ博士の論文『電離放射線と健康 いま誰もが知っておくべきこと』が日本語訳の冊子となっているので紹介したい。博士は低線量被曝で細胞が受ける損傷などを解説、放射性核種の摂取を予防したり、排出を促す料理法などをアドバイスしている。情報を寄せてくれた札幌在住のジャーナリスト、加藤やすこさんも「食生活の参考に」とのこと。論文は北海道大学スラブ研究センターの家田修教授が依頼したもので、同センターのサイトからダウンロード(URL http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/slavic_eurasia_papers/SI/contents.html)、または送料のみで郵送してくれる(FAX 011・706・4952)。(吉田亮子)
▼先日行なわれたローリング・ストーンズの東京公演。明らかに目についたのが会場に溢れる「ロックをこじらせちゃった中年男」。もう治ったつもりの中年、である私から見るとこそばゆいような微笑ましいような方々が多々。人だかりの中、「あのときオレがミックをさぁ」とかしゃべってるのが聞こえる。友だちか。またある人はくわえ煙草と片手にジャック・ダニエルの小びん。気分はキース。幸せそうで何より。終演後はそのなりきりぶりがさらに加速していた。昔、やくざ映画を上映する映画館から出てきた人がみんな健さんになりきっていたと聞くが、まさに似た感じだったんだろう。
で、この日はゲストとしてなんと布袋寅泰がステージに。「ストーンズ命」のロックじじいにとって、この人選が若干微妙であることは想像に難くない。歓声とため息とブーイングと嫉妬と絶句とが入り混じったなかなか素敵な空気感。それもまた微笑ましかった。(小長光哲郎)
▼東日本大震災から3年。復興が一向に進まないニュースに胸が締め付けられる。原発周辺では帰郷を諦める人が増えているという。やがて無人の荒野と化してしまうのだろうか。にもかかわらず、原発は再稼働へと進み、オリンピック会場の建設も動き出す。被災地と同じ国の人間がやっていることとはとても思えない。復興がますます遅れる不安が高まるばかりだ。
建設現場の人手不足に備えて、政府は外国人労働者の技能実習制度を拡大するそうだ。“現代の奴隷制度”に頼る前に、原発再稼働をやめ、オリンピック工事も最低2年は凍結し、残る5年で作れる設備に縮小すべきではないか。
4000人以上もの外国人労働者を支援し、昨年、米国務省から人身売買と闘う「ヒーロー」に選ばれた「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」事務局長の鳥井一平さんが、高校で同学年だったと先日知った。これまでも活動してきた被災地で、さらに頑張ってほしいと心から願う。(神原由美)