986号
2014年04月04日
▼私の地元には物心のついた時分から家業を手伝う友人が多くいた。
I君の家は自動車の修理工場。彼は中学2年生の段階で、軽トラのエンジンを自力で修理する技術を有していた。
M君の場合は放課後のみならず、学校が休みの日も、日常生活のほとんどを畑ですごしていた。彼とその家族が丹精込めて育てた野菜や、近くの池で捕れたというスッポン(!)をわが家にお裾分けしてくれたり、こちらもまた、お礼の品を持参したり……。
海人(漁師)の子どもたちとは、イカ釣り用の餌木(疑似餌)を熱心にこしらえた記憶がある。授業もそっちのけで、机の下には削りたての木くずがいつも積もっていた。そういえば、家族で廃材などを少しずつ集め、家を建ててしまった友人もいる。
「社会人」について考えるとき、私はその少年たちの姿を思い出す。遊びを通じて労働を学び、その労働の中に生きることの喜怒哀楽を見出していた彼らには、多くのことを教えてもらった。(内原英聡)
▼前号(3月28日号)でとりあげた「国家戦略特区」の区域指定が、3月28日、東京圏、関西圏、新潟市、兵庫県養父市、福岡市、沖縄県の6区域に決定した。諮問会議では否定的意見も多かった沖縄県が選ばれたのは、米軍基地の辺野古移転に向けた政治的配慮との見方がある一方、特区が無制限に広がる危険性が指摘されていた「バーチャル型」は今回、見送られた。
しかし、区域指定と同時に発表された特区内の「雇用指針」案をみると、“解雇の金銭解決”まで視野に入れた内容で、いずれバーチャル型を活用した全国的労働規制緩和の思惑がのぞく。
規制緩和等の具体的中身は、今後、区域別の会議で詰められるが、指定された東京圏で言えば、前号に登場した奈須りえ前大田区議は「東京都議会からも各区議会からも議論の声が聞こえてきません」と嘆いている。別世界の出来事にみえるかもしれない特区が私たちの生活に深くかかわり、暮らしを脅かすことを、一層伝えていかなければと思う。(山村清二)
▼視聴率が取れるからか、クールごとに増えてきている警察ドラマ。私もつい見てしまうのだが、ドラマの中で、組織の矛盾やトンデモ警察官が描かれているにせよ、「警察=正義」というイメージ作りには一役も二役も買っている。
先日、ある大学の教授から驚くべき話を聞いた。学生たちは、デモをしている人たちの横で警察官が監視しているのを見ると、「警察=正義」だと頭の中にあるから、「デモをしている人たち=悪」という“単純方程式”を導き出してしまうという。
テレビ局にとっても、警察にとっても、おいしい今の構造はなかなか変わりそうにない。何とも恐ろしく、問題の根深さを感じる。
一方、警察の人も“自分たちのドラマ”を気にしているらしい。元兵庫県警刑事だった飛松五男さんによれば、ドラマ「相棒」で水谷豊さん演じる主人公・杉下右京さんの格好を真似している刑事がいるとか。本当に真似してほしいところは他にあるんですけどね……。(赤岩友香)
▼憂鬱な春だ。とうとう消費税が上がってしまう。通勤定期を早めに買い求めた際、4月からの料金を確認し、値上げを実感した。巷の話題はもっぱら駆け込み需要や企業の対応などに終始している。増税は決まっていたので、そういう話題ばかりになるのは仕方がないかもしれないが、あらゆる物価が上がることによる重税感はこのうえもない。その是非を問う報道もあっていいのではないか。所得の多さに関係なく課せられる消費税は弱いものいじめだ。まさに『税金は金持ちから取れ』(小社刊)にすべきである。
小誌は消費税に反対し、4月以降の価格据え置きを決定しました。庶民の暮らしを破壊する安倍政権を退陣させるべく、読者の皆様と共に闘います。そこで、志を同じくする方をご紹介いただけませんでしょうか。紹介していただいた方が定期購読してくださったら、双方に図書カードを進呈いたします。なお、なんと5月までキャンペーンとして2枚に倍増! この機会をお見逃しなく。(原口広矢)