週刊金曜日 編集後記

988号

▼元本誌書評委員の鈴木沓子さんに「バンクシーで何か記事をつくれないでしょうか」とご相談したのはもうかなり前。バンクシーの新刊が出て、その訳者が鈴木さんという縁で、やっと実現しました。
 記事中のバンクシー作品4点、当初はそれなりの掲載料金がかかると言われていたのですが、交渉過程で本誌の媒体説明をする際、第二次世界大戦前に反ファシズムの精神のもとフランスで創刊された週刊誌『ヴァンドルディ(金曜日)』の志を継ぐ雑誌で……などと伝えたのが先方に響いたのか、何と無料で使用許可が! という、うれしいこともありました。
 いとうせいこうさんと毛利嘉孝さんの対談では、誌面には入りませんでしたが「HIPHOPは日本に根づいたのに、なぜグラフィティはだめだったのか」という話にもなり、いとうさんがぽつり。「意外に……スプレーが日本語に合わなかった、ということかも」。大笑いになりました。想像すると、たしかに横書きの英文に比べると漢字や仮名は書きにくい。がんばってせいぜい、「夜露死苦」程度だったのかも。(小長光哲郎)

▼集団的自衛権の行使容認へと準備を進める安倍政権。その向かう先には何があるのでしょうか――この度、安倍政権打倒に向け、臨時増刊号を発行いたしました。発売は4月17日です。
 臨時増刊号はオリジナルの内容が盛りだくさん。内田樹さんには、今の日本社会が安倍政権を受容している背景について、オリバー・ストーン監督、ピーター・カズニック教授をはじめ、海外の識者から見た安倍政権についての論考を掲載。斎藤環さん、能川元一さん、北原みのりさん、藤田正さんには、安倍政権が支持される背景をご専門の分野から分析していただいています。佐高信さんの二大対談と題し、経済編では浜矩子さんを、政治編では鈴木宗男さんをお迎えしています。また、広瀬隆さんの原発再稼働に対する批判や、横田一さんには自民党内の「安倍包囲網」に関する最新の動きも。石坂啓さんのピョンタくんも登場! 
 なお、通常の本誌とは異なり、「丸ごと1冊」、どのページをめくっても安倍政権を検証する内容です。ぜひお近くの書店でお買い求めください。(赤岩友香)

▼“リケジョ”(理系女子)ではなく、“ブケジョ”(ブンジョか? 文系女子)の私は、理化学研究所・小保方晴子さんの論文騒動にイマイチ、ピンときていない。
 メディアに躍る「世紀の大発見」「ノーベル賞候補」にも、へ?、すごいなぁ、と。で、STAP細胞(万能細胞)って何? ってな具合だから、自分の知識のなさに目も当てられない……。
 疑惑の発端は、英科学誌『ネイチャー』への論文掲載後、国内外の研究者やネットユーザーが検証し始め、さらに、他の研究機関がSTAP細胞を再現しようにも失敗続きだったことから、疑いが濃くなっていったとか。
 これって本来、ジャーナリズムの役割では? 改めてネット時代のすごさを感じます。さて、STAP細胞はあるのか!? でも、結果が出る頃にはみんなもう忘れてるんだろうな……。(弓削田理絵)

▼3月下旬、北村発行人による “定期購読のお願い” のハガキを以前に購読されていた読者の方々に送付したところ、予想を上回る多くの申し込みを頂戴しました。ありがとうございます。またこの時期、「3・11」を機に購読された方の更新時期にあたります。引き続きの購読をよろしくお願いいたします。
 さて『さらば、独裁者 検証 暴走する安倍政権』と題する臨時増刊号を発売しました。取次店との部数交渉では窓口担当者が「過激ですね?」と何度も呟いていたそうです。現在、書店店頭には偏狭なナショナリズムを煽り、差別を助長するタイトルと売り文句を付けた書籍や雑誌が溢れており、実際によく売れています。こうしたなかに斬り込む、本増刊号の果たす役割は大きく、売らねばならない雑誌なのです。お求めの際は、ぜひ書店をご利用ください。なお定期購読の誌代には、含まれておりません。店頭にない場合は、定期購読に同封したチラシを持参のうえ、最寄りの書店に注文をお願いします。(町田明穂)