999号
2014年07月11日
▼「ぼくらは生きたい!」
6月最後の夜、官邸前での集団的自衛権行使に反対する抗議行動で「学校で呼びかけて集まってきた」中高生の子どもたちが発した伝説のコールである。なんて心に響くコトバだろう。何度も繰り返されたそのコールに周囲の大人たちはみんな涙をぬぐったという。
戦後日本の大きな転換点となるかもしれない7月1日の夜、官邸前での抗議行動に参加した。「戦争反対。戦争反対。安倍はヤメロ」大勢の人が怒っている。その場で偶然出会った知人にライターの和田靜香さんを紹介される。前日の官邸前抗議行動の記事をニュース・ブログサイト「ハフィントン・ポスト日本版」に書いたという。家に帰り、「ぼくらは生きたい!」が生まれた現場状況を記した和田ルポを読む。少し泣く。
7月末、『よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃないか! オリバー・ストーンが語る日米史の真実』を弊社から緊急出版する。ぼくらはあきらめない。(本田政昭)
▼にわかファンだったけど山口那津男ファンをやめました。政治家の「二枚舌」には慣れっこだけど今度ばかりは許せない。憲法より「権力」にすり寄るだなんて!
なぜこんな政府・与党を罰する「憲法裁判所」が日本にはないのだろう。憲法81条で最高裁判所に違憲審査権を与えているので日本にもあるといえるのかもしれないが、頼みのその最高裁・寺田逸郎長官は、憲法記念日を前にした記者会見で集団的自衛権に対する質問にこう答えている。「具体的な事件を離れて憲法のありようについて申し上げるのは控えたい」。戦争に巻き込まれた自衛隊員に犠牲者が出て、そしてそれが訴訟にならない限り違憲審査はできないとでもいうのか。集団的自衛権が閣議決定された日、毎年この時期に行なわれていることとはいえ中高校生宛に自衛官募集の案内が発送された。宛先を消した封筒がネットにアップされているのを見て「赤紙」を連想してしまった。(柳百合子)
▼都議会の人権侵害ヤジに批判が集中したことで国会の同様ヤジも暴露され、男性たちが頭を下げる結果になったのは、これまでこの種の差別的発言がスルーされてきたことを考えると一歩前進、なのかもしれない。でも発言者らはきっと「それほどのことか?」という感覚なのだと思う。だから謝った議員も最初はとぼけたし、名乗りでない人たちはほとぼりが冷めるのを待っているのだ。
3月12日の参院本会議の代表質問で、自民党の二之湯智議員が「子どもを産み、立派に育てることが国家に対する最大の貢献」と言おうとしていたと同13日付MSN産経ニュースが報じていた。「公明党の指摘を受け、事前に削除・修正していた」そうだ。これが自民党男性議員の本音だから、何が悪いのか理解できないのだろう。
海外の反応を書かれた在米の板倉由実さんは「日本人であることが恥ずかしかった」と言う。同感。武器に原発に恥。ヘンなものばかり輸出しないでくれ。(宮本有紀)
▼とうとう閣議決定されてしまった。戦争に巻き込まれることは絶対にないと熱弁を振るわれても、特定秘密保護法の成立、武器輸出三原則の緩和ときて集団的自衛権の行使容認とくれば気分はもう戦争でしょ。そんなに戦争したいなら総理からまず前線へ、だ。有事になれば総理の判断で自衛隊が戦地へ赴く。戦闘になり血を流すのは自衛隊員であり、総理ではない。そうか、戦争に巻き込まれないのは自衛隊員や国民ではなく、総理あなたのことだったのか。
近所で飲んでいた時、普段は政治の話をしないOさん。どちらかというと保守的な方だが、集団的自衛権は危ない、とはっきり語っていた。この方は70代、戦争を体験した世代だ。理屈ではなく感覚で反対しているのだと思う。私は戦争を知らずに育った世代だが、体験せずに済んだのは憲法9条があればこそである。姑息に憲法を空洞化し、平和を脅かす解釈改憲は許されない。(原口広矢)