1007号
2014年09月12日
▼日本の戦争犯罪の中でも特に許せないと思うのは、「慰安婦」制度です。くる日もくる日も性的「慰安」を強制される、逃げようにも逃げられない。そのこと自体、身の毛もよだつ状況なのに、加えて、名乗り出た女性に対するバッシング。「金目当てだろう」という言説はこれまでもありましたが、最近のはかなり異常な感じがします。
吉田清治証言と『朝日新聞』のことと、日本が戦争中何をしたのかということは、分けて考えなければいけないと思うのですが、近頃、それらがごちゃごちゃになっている気がします。被害女性たちのことを忘れてはいけないと思いますし、「慰安婦」問題の本質を見誤ってはいけないのではないか、と思います。
奇しくもダグラス・ラミスさんは、軍隊の訓練とは「命令に絶対に従うことを教える」ことだと語ってくれました。「社会を作り直して戦争をすることではなく、戦争への恐怖を手段として国民が言うことを聞く社会を作ることが目的なのでは?」との指摘に、私は「慰安婦」問題を重ねたのでした。(渡辺妙子)
▼TBSのドラマ「家族狩り」が5日に最終回を迎えた。子どもの引きこもりや家庭内暴力が原因で一家心中にまで追い詰められ、どうしようもなくなった家族が「狩られる」姿はどこにも救いはなかったが、これが現実なのか。父親を金属バットで殴り、その後、一人暮らしをしていた高校生が起こした佐世保の事件を思い浮かべてしまった。同じような悩みを抱えた家族は、どこに救いを求め、どんな選択をしているのか。
ドラマの主人公、児童心理司の氷崎游子はこう言う。「家族を閉じてしまうことが多くの悲劇のはじまり。家族をもっと開いてもいいんじゃないか」「生きてるだけで、それだけでいいことがあるとは思えない。だからいいことは自分たちの手でつくっていくしかない。そしてそれを家族や仲間とシェアしていく。ほかの人にも広げていく。悲しみや辛いことも一人で抱え込まないで、人に助けを求める。こちらからも手を差し伸べる。そのための家族や仲間であるべきじゃないですか」。家族を「開く」には何が必要なのか、考えたい。(吉田亮子)
▼日本軍「慰安婦」の問題について、若手議員時代の安倍晋三首相は「韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね」と言ったという。
韓国にはもともとキーセンが存在しており、国家的に売春が盛んで、「慰安婦」も商行為で「売春婦」とでも言いたいのだろうか。
以前、私が「妓生の踊りを習っている」と話したら、吹き出した年配の日本人男性がいた。「キーセン」と聞いた彼が何を想像したのかは言わずもがな、だろう。
韓国で初めて「慰安婦」として名乗り出た金学順さんは、平壌の「妓生学校」に“売られた” という。だから「慰安婦」にされてもしょうがない、という論調を耳にする度、私の中で「妓生」と「慰安婦」が同義で語られることに対し、違和感を抱いてきた。つまり、差別しているのだ。
「強制」であれ「商」であれ、被害を受けた女性たちが、二重にも三重にも差別され続けている状況にこそ、目を向けるべきではないか。(弓削田理絵)
▼代々木公園の近くに住んでいる。今流行りのあれだ。戦々恐々の日々。でもない。昨年も書いたが、気取って高層マンションに住んでいるので至って平穏(?)で悠々自適な毎日を送っている。
諸説あるが、感染した患者の背中の痛みを庇うような姿が気取っているように見えたため“デング”(スペイン語で気取った人の意)と名付けられたらしい。蚊に刺されなくとも私は既に “デング”。
第二次安倍改造内閣が発足した。民意を無視し、強引に進めてきた集団的自衛権、特定秘密保護法、原発再稼働などを見直す気は顔ぶれからして毛頭ないだろう。強硬路線は継続。女性大臣の複数登用で見せかけの支持率は大幅にアップし、安倍内閣の“天狗熱” は治まるどころか、さらにヒートアップしそうな気配である。
歯止めをかけるべく9月23日、予定では代々木公園にて「川内原発再稼働するな!フクシマを忘れない! 『さようなら原発☆全国大集会&大行進』」が開かれる。小社もブースで出店予定。多くの人の参加を切に願う。(尹史承)