1037号
2015年04月24日
▼国立新美術館(東京六本木)に「ルーブル美術館展」(6月1日まで)を見に行った。16?17世紀の生活画が中心で、驚くほどに写実的。当時の生活の記録としても興味深い。300年から400年前の絵画を前にして1時間も正対していると、まわりの空気が湿度をもち、心がなごんでくる。
なごむと言っても、たとえば「蚤をとる少年」の痒さが時を超え、1枚のキャンバスに固定されていたかゆみが「解凍し」、親しみに近くなるのかもしれない。
美術館を出てすぐ、外苑通りをはさむと青山霊園がある。こちらは150年前の明治がひしめき合う。この墓地群の主役は大久保利通だと言ったのは亡くなった草森紳一さん。大久保の墓域には暗殺者に一緒に殺された馭者の中村太郎とその馬の墓もあり珍しい。建立は明治43年だから死後30年たっている。これも長い。明治7年に売り出され最低で一坪70銭、明治末年には満杯状態になる。
ヨーロッパと明治のヒストリースポットに遊んだ。(土井伸一郎)
▼天邪鬼を自称する友人からメールがきた。所属する学会の講演会のことが書かれていた。中村修二教授の話が面白すぎる。大学のサイトでアドレスを調べ、話を伺いたいと教授にメールした。翌日返信があり、来週日本に行った際に時間を取るとのこと。えっ本当?
何年か前に、本誌に登場いただきたいと、愛知県にある大学の教授にメールを送ろうとしたことがあった。だが、アドレスがわからない。転送してほしいとメールを大学宛てに送った。しばらくして本誌への登場をお断りするむねのメールが大学から来た。がっかりしていると本人から電話が来た。郵便を受け取った。メールで詳細を送るとあったが、連絡が来ない、と。そうだ、メールと同時に郵便を送っていたっけ。大学からの断り状のことを話すと、まったく知らないとのこと。えっ本当?
思い当たることがあるとすれば、その大学は小誌が追及キャンペーンをはった企業の援助をうけていることくらい。これって日米の違い、それとも?(小林和子)
▼文教大学の山下英愛教授がフリージャーナリストの大高未貴氏を相手取り起こした損害賠償請求訴訟の第一回口頭弁論が4月21日、東京地裁で開かれた。本誌で既報したが、ソウル大学名誉教授が過去の「慰安婦」への聞き取り調査の失敗を告白したとの記事が昨年春に『週刊文春』に掲載されたことを受け、同名誉教授からの依頼で山下教授は反論文をネット上に公開。だが反論文が捏造であるかのように大高氏は喧伝し、山下教授は名誉を傷つけられたとしていた。当日の口頭弁論は原告側が訴状を陳述し、被告側が答弁書の提出だけで欠席。具体的な両者のやりとりは次回(6月2日)になる。
余談だが、大高氏の夫である埼玉県議の鈴木正人氏は12日の統一地方選で四選した。自身が発行する県政レポートで「自虐史観に満ち溢れた教科書」を作っているとして実教出版を批判したり、沖縄や台湾への修学旅行で「日本が嫌いな反日・日本人」が作られるなどと主張している。(渡部睦美)
▼4月の新ドラマ、ほぼ視聴。今回は再映像化の作品が多く、「アイムホーム」「アルジャーノンに花束を」「天皇の料理番」と3作品。「世にも奇妙な物語」もリメイク希望募集とかしてるし。流行り?
再映像化作品に限らず脚本家のせいなのか、テーマのせいなのか、私が長く生きすぎたのか、安定感はあるけど新鮮さがないなというのが全体の印象。その中では「天使と悪魔―未解決事件匿名交渉課」は、司法取引の先取りが目に新しく、心をざわつかせる内容。
前クールでは、「山田孝之の東京都北区赤羽」は、新ジャンルの魅力に溢れてました。監督の一人山下敦弘さんは初期のドキュメンタリー風作品も好きだったのでまたこんな感じのものが見てみたい。そして役者として復活した山田孝之君の「REPLAY & DESTROY」も早く始まれ。ついつい応援中。(志水邦江)