週刊金曜日 編集後記

1061号

▼いままで「ありえないこと」のたとえとして使ってきた、「それはラグビーで日本が南アに勝つようなものだよハハハッ」というのは今後使えなくなった。「スポーツ史上最大の番狂わせ」「史上最強の敗者(3勝しても決勝Tにいけない)」は当たっている。一方、負けた南アはたまったもんじゃない。何が起こったのか最後までわからなかっただろう。W杯最高勝率(86%)のチームが最低勝率(4%)のチームに敗れてしまった。その南アも準決勝でニュージーランドに惜敗、いい試合だった。
 世界最強と言われながら1995年の第3回大会まで南アはW杯に姿を見せられなかった。前年大統領にマンデラが就任、アパルトヘイトが撤廃されW杯初参加で初主催国になった。そしてエリスパークでの決勝ではニュージーランドを破って初優勝。この大会のことはC・イーストウッドが2009年に『インビクタス/負けざる者たち』として映画化している。マンデラと代表チーム主将の交流を描いた佳作です。 (土井伸一郎)

▼有権者が無知・無責任・無関心で、同時に大メディアが御用化し、選挙制度も「民意」の反映を妨げるならば、「憲法」や「民主主義」、「平和」といった用語はすべて建前だけとなり、どんなに低劣極まる人物でも権力を握ったら好き放題にデタラメをやれる----。こうした認識を政治の一法則として改めて確立させたのが、昨今のこの国の現状なのだろう。近似した例は8年にも及んだ米国のブッシュ政権に求められようが、当時自国のふがいなさに嫌気がさして、カナダに逃げ出した人々が少なからずいたという話を現地で聞いたことがある。しかし、国境を接した逃げ場もないなら、この国ではどうすればいいのだろう。全権委任法を可決させたナチも顔負けのことを国会でやらかされた9月17日の暴挙は、大多数の国民にはとうに記憶の隅にも留めていない風で、おまけに「内閣支持率回復」だと。そんな話にもならない連中が有権者でいられる国で何を主張しようが、所詮「百年待河清」の如くなのだろうか。 (成澤宗男)

▼東京都小金井市立図書館は「開かれた図書館」として、誰でも利用でき、貸出冊数にも制限を設けていない。つまり氏名・現住所が確認できるもの(運転免許証・健康保険証等)があれば誰にでも利用カードを発行する。この町に住む一市民としてこの町の図書館の理念をとても誇りに思う。
 おそらく全国的に同様な事例があると思うが、小金井市に隣接する小平市、国分寺市、調布市の図書館は、小金井市民は利用できない(通勤・通学者は利用可)。同じく隣接する武蔵野市、三鷹市、西東京市、府中市は、小金井市民も各市の図書館を利用できるのだが、家から自転車で約5分の小平市の図書館を利用することができない。小平市の図書館によると、隣接する自治体同士の取り決めでどうにもならないらしい。小金井市の図書館は誰でも利用できるのに......。日常の買物をする近くの町の図書館が「開かれていない」ことがとても悲しい。この「図書館難民」問題、なんとかならないのだろうか。 (本田政昭)

▼業務部からこの場を借りてのお知らせです。7月17日号から定期購読の発送方法を変更しましたが、到着具合はいかがでしょうか? 
概ね改善していると思うのですが、ごく稀に週明けに本誌が届いた、あるいは届かないという連絡をいただくことがあります。どうやら悪天候や月末月初の号にその傾向が見られるようです。月曜日にお手元に届いていない場合は、すぐに再送いたしますので、業務部宛にご一報ください。また8月には定期購読システムを変更しており、それに伴い手続用紙をお送りする封筒が変わりました。またその用紙は価格の修正ができませんので、購読期間の変更を希望される方はこれもお手数ですが、業務部宛ご連絡ください。再発行した用紙をお送りします。そして大変心苦しいのですが、12月4日号以降に更新される方より、新しい購読料金での御請求となります(音訳版を除く)。これまで以上に質の高い雑誌をお届けできるよう努力してまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。 (町田明穂)