週刊金曜日 編集後記

1066号

▼今年も残すところ3週間あまりになりました。まあ、「それがどうした」って言われれば、手帳を書き換えたかどうかってくらいなもんなんですが。皆さま、ご機嫌いかがでしょうか。
 私が現在担当させていただいている連載の方々が、12月26日から3日間、東京で公演いたします。「無責任架空対談」の松崎菊也さんと石倉チョッキ(直樹)さんが「トークライブ4!」と題して26日(土)に永田町の星陵会館で。14時開演、料金3500円。問合わせはスタッフ21(048・299・6321)。松崎さんには11月3日の創刊22周年記念集会で司会をしていただいた。幕間の都々逸はまさに笑劇場。さらにパワーアップされた舞台をどうぞ。
 27日28日は恒例「新宿寄席」。詳細は左のページをご覧下さい。
惜しくも小沢昭一さんのハモニカ、永六輔さんの相撲甚句、野坂昭如さんの「黒の舟唄」は聞けないけれど、何か聴こえてきそうな会です。2日目は佐高信さんの差配で笑いましょう。 (土井伸一郎)

▼北海道・釧路で一人暮らしをしていた義理の父(91歳)が脳梗塞で倒れた。幸いヘルパーさんが様子を見にきてくれていたので発見が早く、軽かったようだ。ただ、足に力が入らなくなってしまい、自力歩行が困難で、元の一人暮らしには戻れそうにない。さて、これからどうするかである。
 つれあいはすぐに行こうとしたが釧路行きはすでに満席。飛行機に乗ってしまえば1時間半の距離だが、やはり北海道は遠い。到着するまでの間、向こうに住む従姉に病院の付き添いなどを頼んだ。地域包括支援センターのスタッフではなく、とにかく家族が付き添わないとダメだと病院は言う。
 母の介護疲れもとれ、夏に行ったときは元気だったのに......。年齢を考えると限界だったのかなとも思う。でも、生まれ育った北海道の自分の家で好きなものをつくって食べ、暮らしていた父は幸せだったのではないか。そのためのサポートをしてきたつもりである。と、自分に言い聞かせている。(吉田亮子)

▼「お金儲けは悪いことですか?」
 金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで、長女とともに自宅などを強制調査されている村上世彰氏。冒頭の言葉は、いわゆる村上ファンド事件で同氏が逮捕される当日に記者会見で放った言葉だ。
 お金儲け自体は悪いことではない。弊社だって、お金儲けはしたい(けれど、できていない......)。大切なのは、お金儲けの仕方であり、理念なのではないだろうか。
 理念を感じられない実業家や経営者は他にもいる。森功氏の新刊『日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈』を読んでいて、南部氏のお金儲けの巧さだけはよくわかった。
 世界規模で行なわれているマネーゲームのもと、大多数の人々が"使い捨て"にされている。
 その森氏を弊誌編集委員・佐高信とともにお招きして、第7回「金曜日文庫」を12月10日開催する(詳細は右下欄)。年末でお忙しいとは思いますが、ぜひご参加ください。 (赤岩友香)

▼スローガンの大好きな安倍首相が今回も「一億総活躍社会」というキャンペーンを打ち出している。その実現に向けた施策「介護離職ゼロ実現」に同居人がひどく憤っていた。老人介護職に長年従事する彼女曰く、「仕事のキツさ、給料の安さ、離職率の高さ、あなたが知らないはずないでしょう? 
 知らないならば、ぜひ現場にいらしてください。設備を増やして利用者を受け入れても、そこで働く人がいないの。職員を辞めさせないような施策が先じゃないですか?ついこの間、介護報酬を引き下げておいて、いったいどの口で言っているのよ!」と怒りは収まらない様子だが、そもそも介護を理由に退職せざるを得ない「介護離職」というこの言葉、「介護職員」が次々に辞めていく様を示すものだと、本気で思っていたらしい。
 しかし、毎度のことながら首相の言葉がさらに軽く、薄っぺらい。哀しいかな今回の「一億総活躍社会」も、どこぞの広告代理店のネーミングかと穿った見方をしてしまうのであった。 (町田明穂)