週刊金曜日 編集後記

1106号

▼「一体なぜ......」。三宅洋平さんと安倍昭恵さんのバーでの"密会"写真を見たとき、大きな疑問が沸いた。その後の「2人」の言動を見ても、不信感が募った。「ならば直接会って根掘り葉掘り聞こう」と、原一男さんによる三宅さんのインタビューが実現した。
 実際に会うと、三宅さんは「どんどん聞いちゃってください」とざっくばらんに話をしてくれた。インタビューは予定時間の倍の3時間におよんだ。記憶に残ったのは、手塚治虫の『ガラスの地球を救え』という随筆集に影響を受けたという話。手塚治虫の「治虫」はオサムシという昆虫になぞらえたものというエピソードを思い出した。少年時代の自然との触れ合いが手塚治虫の想像力を育み、さまざまな作品を生んでいった。三宅さんも幼少期を牧場などに囲まれたベルギーの郊外で、その後の小学校生活は田園地帯が広がる山梨県ですごしたという。中学生活も山に囲まれた山形。現在は沖縄の自然に囲まれ暮らす。この中で培った想像力が、彼の「怒り」「危機感」を研ぎ澄まさせ、行動させているのだと感じた。(渡部睦美)

▼東京都の立川市民が中心となり、1987年から毎年憲法集会を開催している「市民のひろば・憲法の会」から、今年もまた70頁を超える記録集が届いた。その中にビデオ『戦争は庶民も加害者にする三多摩での米機搭乗員虐待事件』の解説があった。このドキュメンタリービデオは、会の代表・楢崎茂彌氏が、GHQ資料や当時の目撃者などの証言を集め昨年製作したもので、今年はその後も集められた証言を再編集して上映。今後も集め続けるとのこと。
 その事件の一つが「東京立川憲兵隊事件」、自分のすむ街の事件だった。1945年8月8日、1機のB29が北多摩郡谷保村(現、国立市)に墜落、搭乗員10人が墜落死、2人が捕虜となった。捕虜となったうちの1人は、憲兵隊が主導して近くの国民学校の校庭に連れ出され、800人もの市民から竹の棒で暴行を受け、最後は将校が墓地で殺害してしまう。その時実際に捕虜を殴打した市民の証言も収められているという。もし、その場に立たされたとしたら、人はどこまで冷静さを保てるのだろうか。(柳百合子)

▼街からひとつの店が消えることで、大袈裟にいえば、街の空気が変わってしまうことがある。
 先日、久しぶりに市ヶ谷のそば屋「角屋」に寄ったら、店が消えていた。「まさか」である。そこそこ繁盛していたように見えたのだが......。名物のカレー南蛮は伝説となった。閉店してしまったこと、その現実に、今でも慣れない。
『純喫茶へ、1000軒』難波里奈=著(アスペクト)には日本全国の純喫茶のリストの中から「活ける昭和」の博物館のような66軒の店が、写真付きで紹介されている。どの店も素晴らしい。それぞれが街のヘソとして、ニッポンの文化遺産として、タカラモノである。近いうちにその豊かさを感じに何処かの店に出かけてみたい。
 昨年、神保町の文化的シンボルでもあった洋菓子店「柏水堂」が86年の歴史に幕を下ろした。先日、建物が解体された跡地の前を通りかかったら、小さなガラスの破片がひとつだけ落ちていた。ちょっと迷ったが、ひとつの時代の記念として拾って帰り、破片はいま机の上にある。(本田政昭)

▼「さようなら原発 さようなら戦争大集会」に出店。本気度が試される雨中の販売でしたが、編集部員I考案の「ビニ本作戦」により水害を克服し、本誌が売れて定期購読の申し込みもありました。
 さて、このところ定期購読の契約更新についてお問い合わせが多いため、若干説明申し上げます。宛名ラベルをご覧ください。お名前の下に『週刊金曜日』とあります。その右側で№から始まり0を含む6桁の数字が契約番号です。お問い合わせの際には0を省いた数字で構いません。さらに右側に残×回とありますが、これは現在の契約状況です。残0回になったら契約終了です。契約更新用の払込票は契約終了の約8週前にお送りしますが、契約期間の変更は可能です。たとえば、3年購読を1年購読にして、払込票を再発行することができます。なお、口座引落月々払いの契約は残回数の表示がありません。購読中止のお申し出がない限りは発送を継続いたします。月末には翌月の引落を手続きしますので、停止は何とぞ早めにご連絡ください。(原口広矢)