週刊金曜日 編集後記

1110号

▼祖父が印刷所を、父が出版社を興したのが東京の築地本願寺の近くだったので、小さいころから築地は馴染みの町だった。
 年末、場外に買い出しに行くのが家の行事である。特に、こはだの粟漬けと黒豆は欠かせない。それでも市場の場内へは入ったことがなかった。
 遠藤尚太郎監督『築地ワンダーランド』はその築地市場の中に入ったドキュメンタリー。カメラがこうも丹念に場内を活写したのは初めてではないだろうか。食べたくなるより、観たあとに買い物したくなる映画である。
 松崎菊也さんと石倉チョッキさんの「無責任架空対談」コンビが放つ暮の公演のお知らせです。
「トークライブ6」。東京・永田町の星陵会館ホールで12月18日(日)14時の開演です。全席指定3500円。問合せはスタッフ21(TEL・048・299・6321)まで。議事堂の近くで国会を笑い飛ばします。(土井伸一郎)

▼日本体育大学の松浪健四郎理事長をインタビューした際、朝鮮民主主義人民共和国への「遠征報告書」という冊子を頂戴した。
「メンバーの中には親から許可のおりなかった仲間もいました」と書くのは大学・女子サッカー部4年の田上夏実さん。「日本と朝鮮は本当に国交がないのかと疑うほどでした」と続けている。「メディアから見える朝鮮は、想像しただけで恐怖でした」。大学男子バスケ部1年の大城侑朔さんは、朝鮮体育大学チームと試合をして「現場に行って触れないとわからない」と締めくくる。
「身体能力の高さに感動しました」というのは柏日体高校1年男子サッカー部の武井松彦さん。「朝鮮のトレーニング法や練習法も知りたくなりました」と締めくくっている(肩書きはいずれも当時)。
 そういえば冊子には「試合は負けました」という報告が多い。日体大の練習環境は国内トップレベルだが......。武井さんの気持ち、わからなくもない。(野中大樹)

▼20日に山城博治沖縄平和運動センター議長とともに沖縄県警に逮捕されたYさん。容疑は8月25日朝、沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設現場で侵入防止用のフェンスを設置しようとした防衛局職員に対する傷害と公務執行妨害の疑い。Yさんは日本キリスト教団の牧師で、神奈川県内にある自分の教会の前で逮捕されたという。
 Yさんは沖縄のために「何かできることを」と船舶の免許を取得し、辺野古の海上での抗議行動に2014年から参加してきた。昨年は海上保安庁の激しい「警備」で船を転覆させられ、救急搬送された経験もある。
 私もその1人だが、キリスト教界からも逮捕は不当だとの声があがっている。高江での機動隊員による「土人」発言は、普段から使っていなければ出てこない言葉だ。そういう差別意識が「沖縄」に対する仕打ちにつながっている。1日も早い釈放を!(吉田亮子)

▼9月期ドラマは、シリーズもの5作品を見るため他は少数精鋭。 やっぱり気になる業界もの「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」。あり得ないとの声たちも凌駕する面白さ。「本」への愛を感じる内容+嫌な人が少ないのもポイント高い。"地味にスゴイ"というフレーズに、ついいつも「うちもね」と言い添えてしまうけど。「逃げるは恥だが役に立つ」。家事契約だが周囲の理解を得るため偽装結婚を選択するという2人。同棲でもいい気もするけれど、ハードルはそんなに高いのだろうか。事実婚をする提案は契約書にはあったけど、親戚一同にはその話をしていなかった気が。はたして事実婚は理解を得られるのか? 結局、両思いのハッピーエンドという予想はつくけど、そこでやっぱり法律婚に落ち着くのでは、ということだけが不安要素。話題のダンスを有志で披露したいと社内で参加者募集中。日曜日の裏表対決は「IQ246~華麗なる事件簿~」。共演者で決めました。(志水邦江)