週刊金曜日 編集後記

1175号

▼東日本大震災から7年。「復興五輪」をキャッチフレーズに掲げた東京オリンピック・パラリンピックの公式マスコットが、全国約20万超の小学校のクラス投票で決定した。「過去」の事はとりあえず忘れて「これから」に向かって「国策」としての五輪報道は過熱していくだろうし、メディアとりわけ新聞・テレビが、どのような観点で誌面(番組)作りをするかをきちんと見ていきたい。
 これから東京オリンピックをめぐる再開発で、各地に新施設が続々とオープンするだろう。都市は変貌し続ける事が宿命でもあるが、各地に点在する歴史ある建物や小さな路地はできるだけ残ってほしいと思う。不便なことも多いだろうが、アナログ的な心地よさは、人が生きていく上でかなり大切だし必要なのではないだろうか。
 古い建築を独自の手法で再生し、新しい価値を生むリノベーションが、地方再生の切り札として注目されている。世代交代も含め、全国各地の町がもっと面白くなりますように。仕事帰りに昔ながらの焼き鳥屋で煙に包まれながらしみじみと思う。(本田政昭)

▼海外旅行の醍醐味(?)の一つだと思っているのがトイレ。穴だけの簡易なものから(穴の大きさはさまざま)、水上・湖上(たぶんそのまま流す)、手動ウォシュレット(?)などなど、所変われば、トイレ事情もいろいろです。
 そんな文化の違いを見つけては楽しんでいるのですが、昨年、中央アジアのある国で、旅の間中、どうしても解けない謎が一つありました。
 ところが。ある時、取材で訪れた都内某所のトイレで1枚の張り紙を発見。和式トイレの"正しい"使い方(向き)を示したものだったのですが、思わず、「やっぱりそうだったのか!」と呟いてしまいました。というのも、この"向き"がずっと謎だったので文字通りスッキリ(ちなみに私は、逆向きで使用していました......)。
 こんな張り紙が貼られているということは、"逆向き"トイレの文化圏から多くの人が多く訪れているということなのでしょう。日本の、とても私的な空間から、世界をちょっぴり感じた瞬間でした。(弓削田理絵)

▼米軍基地・辺野古ゲート前で座り込みを続けている人たちが、那覇地裁構内に押しかけ、肩を組み、沖縄平和運動センター議長の山城博治さんを「返せ!」と、そしてまるで自分たちをも鼓舞するかのように、声を張り上げ力強くいつまでも歌い続ける。これほど心を揺さぶられるような歌声を聴いたのは初めて! ドキュメンタリー映画『辺野古 ゲート前の人びと』のこのシーンに心を鷲掴みにされた。この映画は、藤本幸久氏と影山あさ子氏の共同監督で昨年11月に完成した最新作。完成以来全国各地で上映会が開かれている。
 東京都国立市でも先月、保釈中の山城さんの判決が今月14日に迫っていることもあり、「地域で何ができるかを自分たちで考えたい」とするピースリーディング結の会など多くの市民が、上映と山城さんの話を聞く会を開いた。「歌声は大事です。しなやかに粘り強く闘います。辺野古アメーバ大行動です」と話す山城さん。安倍政権の権力の横暴さを次々と暴き出していく。
 このDVDがいま、森の映画社から販売されている。(柳百合子)

▼ロシアの反ドーピング機関が国からの指示で検査結果を「陽性」から「陰性」と書き換えていたことが発覚し、ロシアは平昌五輪から締め出された。その賛否あれど、大会期間中にもOARの選手から失格者が相次いだ事実は重いだろう。染みついた不正や隠蔽体質からは脱しきれずか......。
 森友学園関係の財務省文書が書き換えられていた疑いがあると『朝日新聞』が報じ、波紋が広がっている。こちらの国も、「モリカケ」文書の改竄、隠蔽、裁量労働時間のデータ偽装など、不正疑惑に関しては枚挙に暇がない。
 ここの指導者は国会で、過労死の案件を笑って受け流し、彼らが納めた血税を"お友達"と私物化した可能性があるのだから相当タチが悪い。真相の解明や自身(昭恵氏)の関与に対しては、「大切な問題じゃないんじゃないか。ほとんど意味のないことだ」と宣った。自身の関与があれば議員辞職とした発言はどこへいったのか。
 この厚顔無恥で不正にまみれたドーピング政権にも即刻退場してもらいたいところだ。(尹史承)