週刊金曜日 編集後記

1191号

▼公文書改竄や隠蔽、虚偽答弁など「歴史的な悪行」を1年以上続け、現在も加計学園疑惑をめぐる自身の複数の虚偽答弁が強く疑われる安倍晋三首相の口から、こともあろうに「歴史的な使命が終わってしまった」との言葉が出た6月27日の国会党首討論。
 この日は枝野幸男立憲民主党代表や志位和夫共産党委員長、岡田克也無所属の会代表らが「モリカケ」疑惑を鋭く追及したが、安倍首相は「言わば」と言いながらはぐらかし、まともな答弁をせず長々と時間を浪費し、あげく委員長から再三再四にわたり「時間が超過」「まとめてください」などと注意を受けた。党首討論をぶちこわしている張本人は安倍首相だろう。
 森友学園問題を考える会主催のシンポが7月7日午後7時から大阪・豊中市立文化芸術センターで開かれる。ジャーナリストの横田一さんと私も発言者として参加。安倍政権の「歴史的な悪行」を終わらせる闘いは終わっていない。近隣の方、ご来場を。(片岡伸行)

▼宇多田ヒカルの新作『初恋』を繰り返し聴く日々。出演したNHK「SONGS」も見た。インタビューで、例えば原発や#MeTooを歌うなど、あなたの歌にわかりやすい同時代性が明示されない(=「時代」を歌わない)のはなぜ? と問われ、こう答えていた。
「(それらが)音楽にまったく関係してこない。訴えたいものがない。『私と社会』ではなく、『私と、部屋でヘッドフォンして一人で聴いてるリスナー』という関係性しかイメージできないんです」
 これはこれでとても興味深い、とは思う。だからこそ彼女の歌は魅力的で、多くの人に「響く」強さがあるのだろう。ただ、拍子抜けではあったし、少し質問を逸らしたかなとの印象も。何より、安倍政権の支持率がまたじわりと上がり始めるという信じがたい状況の今、とくに若い人たちの政治や社会への諦めやニヒリズムと、宇多田ヒカルの「メッセージ」が結びつくと恐いんだけど......というジレンマも感じた。(小長光哲郎)

▼ある公立小学校で、学校図書館のデータベース化によって、児童の読書を教員が管理しているということを肯定的に書いた記事と、それについての意見をSNSで読んだ。「児童ごとの読書傾向を学校側が把握」「データ資料を担任の先生に配布することで、個別指導を行ったり」......私が生徒だったら嫌だ。小学生ならいいのではという意見も。そうだろうか。
 日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」の「第3 図書館は利用者の秘密を守る」を無視することに疑問をもつ人はいなかったのだろうか。
 また、「貸出冊数」=「読んだ冊数」ではないと思う。私の場合、借りても読まないで返した本とかたくさんあるのだけど。借りたけれど、あ、違うわ、って返した本もカウントされてしまうのか。
 このシステム考えた人って、自分は図書館をどれだけ利用してきたのか。あまり本を読んでこなかった人ではないか。(佐藤恵)

▼今年に入ってから、顎関節捻挫やギックリ腰に始まり、いろいろついてない。神仏にすがってみようかと、人生二度目の厄払いにいくことに。どこの社寺へ行ったらいいものかネット検索していると、「まずはお墓参りに行ってみては」なんてサイトがちらほら。
 そういえば、今年に入ってから、お墓参りしていない。近年、海外に飛び立つ前日には、いくつかのお墓をまわるのが習慣になっていた。お彼岸とお盆を入れれば、2カ月に1回ペース。ところが、もう半年以上、どこにも出かけていない。結果、お墓から遠のいていた。
 そんなことを思い訪れた神社で「自然に触れることが運気を高める」と助言をいただきながら、お墓の周りには緑が多かったなと上の空。桃や向日葵など、お供え用の季節の花選びも楽しみにしていた。非科学的なことはあまり信じないけれど、お墓参りの習慣に守られていたのかも。東京はもうすぐお盆がやってくる。(市川瞳)