週刊金曜日 編集後記

1276号

▼お知らせ申し上げます。
(株)金曜日は「新型コロナウイルス感染症」拡大の防止策として当面の間、代表電話、ならびに「定期購読専用フリーダイヤル」の開通時間を11時~16時といたします。また、お問合せやバックナンバーご注文等への対応に、これまでより若干お時間をいただく場合がございます。ご不便をおかけしますが、なにとぞご理解のほどよろしくお願いいたします。
 感染拡大収束の目途がたたない新型コロナウイルス。当社でも予定していた集会やイベントが中止・延期となり、どうにもならない歯がゆさを抱えながら、経験したことのない事態への対応に追われています。また一方で「テレワーク」や「オンライン会議」等、これまであまり検討の俎上に乗ることのなかった私たちの働き方に向き合う機会にもなっており、ここは前向きに捉えています。
 ところで東京の桜は暖冬の影響で例年より早い開花を迎えたようですが、先月末、季節外れの雪をまとった花びらに「まだ散ってはなるものか」の意志を感じとりました。(町田明穂)

▼安倍晋三首相は4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。対象は首都圏や大阪、兵庫、福岡の7都府県。該当地域の知事は、住民への不要不急の外出の自粛要請や、施設の使用停止、イベントの開催制限の要請・指示などができる。ただ強制力はなく、応じなかった場合も罰則はない。
 つまり緊急事態宣言には、心理的な抑制効果が期待されている。ただ、この間の政府の政策で増え続けている低所得者層は働きに行かなければ暮らしてゆけない。政府がテレワークを推奨しても、自宅で仕事ができる労働者は限られている。感染拡大を抑えるために人の動きを制限したいのならば、緊急事態宣言よりも、十分な保障がまずは欠かせない。水道やガス、電気の基本料金免除も有効な選択肢だろう。
 なのに、緊急事態宣言の発令を望む街の声が多いことに驚く。働きに行かざるを得ない人たちへのバッシングが起きれば、社会はさらに分断される。十分な保障がなければ、新型肺炎収束後も経済の回復は望めない。(伊田浩之)

▼「国は自粛要請しています。(コロナウイルス)感染拡大を国のせいにしないでくださいね」という佐々木紀国土交通大臣政務官のツイッターでの発言。炎上し、書き込みは削除されたが、無責任な日本政府の姿勢が垣間見えた。
 約3週間前までは、「(東京)オリンピックの開催に向けて努力をしている」と安倍首相は豪語。だが3月24日に1年の開催延期が発表された途端、その週の週末の外出自粛"要請"が東京都をはじめとして出され、翌週も継続。そして一気に緊急事態宣言となった。
 一方、陸自配備が進められる沖縄・宮古島の宮古島駐屯地では、地対艦・地対空ミサイル配備に伴う「編成完結行事」が4月5日に決行された。全国での感染拡大を鑑み、宮古地区医師会からは延期要請が出されたが、要請は無視され、約200人に規模を"縮小"したとして、行事は強行された。先日、秋田駐屯地では隊員の感染が確認されたばかり。新しく赴任する隊員がいることを考えても、行事は見送るべきではなかったか。国の勝手な思惑で、各地で緊迫した状況が拡大している。(渡部睦美)

▼収束か終息か、いつも迷うのです。終息がもちろん望ましいのですが、「今日で感染終わり! 明日から通常!」なんてことは起こりようがなく、徐々にスケールダウンしていくんだろうな、と思います。というわけで、収束がなければ終息もないだろうし。とりあえず私自身は収束を使うようにしていますが、メディアによっては終息を使っているところもあり、さまざまですね。
 なんか、世の中全体が浮き足立っていますよね。誰もが不安なんだろうなと思います。自分が感じる不安をどう解決していくか。3・11のときの放射能、今の新型コロナウイルス。どちらも目に見えず、どこにいるのか、どれくらいいるのか、よくわからない。
 こんなとき、人々がパニックにならないように手を尽くすのが政治の役目だと思いますが、その点、うまくやっているのが台湾ですよね。たかがマスク、されどマスク、マスクを通じて築かれた官民の信頼関係が、全部いい方向に作用していると感じます。日本は3・11から変わっていないということを今回発見しました。(渡辺妙子)