1317号
2021年02月19日
▼森喜朗氏の差別発言後、状況の目まぐるしい変化にこちらも振り回された。メディア欄は書き直していただき、さらん日記は一度決まった案を白紙に戻して再度案を出していただいたものの、川淵三郎氏ネタがあったのでそれもとりやめに。作者には申し訳ないことをしたが、快く何度も案を出してくださって感謝している。
新案を見ているときに大きな揺れがあった。東日本大震災から10年という年に再び福島と宮城で震度6強の大地震が起きたという事実に、被害を甘く見るな、「復興五輪」なんて大嘘だ、と天と地から言われている気がしてならない。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の後任会長に女性を、という声がある。普段なら意思決定層への女性登用は賛同するが、今回は賛成しない。東京五輪自体に反対だから、その実現のために動く組織の発展を願えないということもあるが、みっともない男性たちの失敗から目をそらし、組織の刷新感を出すために女性を使おうとすることに腹が立つからである。それは「女性登用」ではなく「女性利用」にすぎない。(宮本有紀)
▼女性差別発言で引責辞任する五輪組織委員会会長(元首相)が評議員の1人と密会して後任会長就任を要請、快諾した評議員が今度は会長に「相談役」就任を依頼する――この人たちは国際社会から何を批判されているかも理解できず、政財界に蔓延るボス談合劇をそのまま五輪の準備・運営の場で演じてしまった。取り巻きも、ボスの利権や政治力を礼賛し、根回しを擁護し、「わきまえる女」だけを周囲に置いて批判をかわす「お飾りアイコン」にしておきたいように見える。
弱者と見るや忖度を求め、核心の質問をする記者には激怒で威嚇し、ボスの支配に従わせるムラ社会の構造を私は「オッサン政治」と呼び、拙稿で見出しに使った。
が、編集部内から中高年男性への差別ではないか、との指摘を受けた。私も「ジジイ」と揶揄される年齢だが、差別は権力のある者からない者に向けて行使される行為や言語だ。出発点で既にゲタを履かせてもらっているわれわれ男どもへの、諧謔を含めた抗議の表現だと私は思うが、読者のご意見、ご批判を待ちたい。(本田雅和)
▼2月13日夜遅くに起きた福島と宮城で震度6強を観測した地震に遭われたみなさまに心からお見舞いを申し上げます。
連載「ハンセイの記」は来週号で最終回を迎えます。休載が多かったため、鈴木邦男さんのご体調を心配する声をいただきましたが、突発事件などの記事(今回は東京オリパラ問題)を入れたい、もっぱら編集部の都合でした。連載を楽しみにしている読者のみなさまから休載を叱られることもしばしばでした。ご愛読に感謝します。
今号から月1回連載の「花巻の風」が始まります。新自由主義の嵐のもと、コロナ禍の前から全国の中小零細企業が悲鳴を上げています。商店街の衰退も深刻です。
私は零細商店の子どもとして人口約3万人の田舎で育ったため、中小零細企業で働く人々や、農家、漁師のみなさまが地域経済のために果たしている役割の死活的な重要性が皮膚感覚でわかります。
「花巻の風」の筆者、北山公路さんは〈一人ひとりが回す小さな歯車〉が大切だと言います。あなたの街の元気を取り戻すヒントが詰まった連載になると思います。落ち着いたら私も花巻に行きたいと願っています。(伊田浩之)
▼多額の広告予算をとることのできない金曜日にとって、この1年、コロナ禍で市民集会が開催されず、宣伝チラシを配布する機会が激減したことは、本誌の販促活動にとって手痛い出来事です。こうしたなか部員から広告料金が比較的安価な「サンムツ」を検討したらどうかとの提案があり、久しぶりに2月5日号を『東京新聞』と『中日新聞』に出稿しました。
「サンムツ」は3段6割広告の略称で新聞の1面下段に設けられることが多い、雑誌専門の広告スペースです。ただ書籍広告を掲載する「サンヤツ」が頻繁に設定されるのに対し、その設定日は月に2~3回で週刊誌の広告を打つには微妙な掲載日になることがあります。今回も『中日新聞』は週明けの月曜日掲載になりましたが、読者から「金曜日の広告を見たよ」「広告はもっと出して」という声が寄せられています。動きが制約される状況下、掲載料が"ウン十万円"する全国紙への出稿は無理ですが、しばらく継続していきたいと思います。そして今週号は『赤旗』に「サンムツ」を出稿しています。(町田明穂)