週刊金曜日 編集後記

1322号

▼急なお知らせになってしまい申し訳ございません。一昨年12月に亡くなった前発行人「北村肇さんを偲ぶ会」を4月4日(日)14時から「ツイキャス」にてオンライン配信いたします。昨年5月29日号でお知らせした通り、昨年5月、東京都内にて立食形式による追悼会を予定していたのですが、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響を受けて開催を見送り、延期となっておりました。いまだ収束の目途はたちませんが、「北村ジャーナリズム」をシンポジウムのかたちで語る機会をもてないかという声があがり、今回「新聞労連」、「毎日新聞労組」、「金曜日」3団体の主催で執り行なうことになった次第です。コロナ禍での開催ですのでオンライン配信になりますことをご理解ください。詳細は下記の「お知らせ」に記しましたが、当該のURLにアクセスしてアカウントを取得、ログインのうえ300円(別途手数料100円)のチケットを購入してご視聴ください。4月18日(日)まで視聴可能です。なお偲ぶ会の模様は後日、本誌にて掲載いたします。(町田明穂)

▼だいたい発想が貧困だよね、太っている人にブタをやらせようとすること自体。オリンピック開会式の演出に関してのやりとりが流出した件だ。以前にも書いたかもしれないが、巷にあふれる洋服はサイズが小さい! これだけ多様性が叫ばれるなか、サイズ展開しないって業界の怠慢でしょ。そういうことが冒頭のような発想につながる一因となり、加担していることに気づかないのかなぁ。TEPCOのテレビCM「3匹のこぶた」篇でも、太っているタレントが「こぶた」役。これいいの?
 いかん、いかん。今週は、3月はじめに観たPカンパニー『花樟の女』(作・石原燃、演出・小笠原響)について書こうと思っていたのだ。こちらは植民地・台湾の歴史を軸に、女性であるがゆえにバッシングにさらされた作家、真杉静枝の生涯を描いた作品だ。静枝は元看護師で、離婚歴があり、台湾出身者。そして多くの恋愛経験があり、作家としての才能がある。何か問題でも? と言いたくなるが、今に至るまで「わきまえない女」の生きづらさは変わっていない。(吉田亮子)

▼地元の千葉県で知事選があった。就任以来、無為無策を続けた森田健作現知事は、台風やコロナ対応でリコールの声も高まる無策で当然、不出馬。ちなみに彼を有名にした「おれは男だ!」は、マッチョ意識全開のドラマ。政治家にさせたのがそもそもの間違い。
 今回の候補者も8人中7人が男性だが、政見放送で東京都知事にプロポーズしたり、政策を忘れて黙ったままだったりと、呆れた演説で話題になる候補者が続出。
 唯一人の女性候補者は、千葉の平和運動やフラワーデモを牽引する金光理恵さん。県有施設での武器見本市開催や、全国最低レベルの医療・福祉問題など、鋭く的確な県政批判を展開。公式サイトで対談した作家・北原みのりさんの〈マッチョで声の大きな周りの声を聞かないリーダーではなく、機動力があって、人の痛みの声を聞ける人〉との応援が心に響いた。
 結果は熊谷俊人前千葉市長の圧勝。市長時代は「統合型リゾート」誘致の動きや子ども医療費負担増など、大型開発、低福祉政策でコロナ感染も県内最悪レベル。無為無策の今より怖い?(山村清二)

▼緊急事態宣言下の21日、自民党は約500人の国会議員を都内のホテルに集め、党大会を開いた。市民にはイベントの開催制限や外出の自粛要請をしておきながら、自分たちは盛大に選挙のための決起集会を行なう。正気の沙汰とは思えない。コロナ禍では、「不要不急の大会」である。自民党議員は優先的に新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませたのでは、と疑ってしまうほどの3密状態であった。「デジタル庁創設」を看板政策に掲げる政権なら、全員オンライン参加にするべきだった。
 菅義偉首相は来たる総選挙に向けて「日本を次の世代に引き継いでいくことができるのは(略)自由民主党じゃないでしょうか。私は、その先頭に立って、戦い抜く決意であります」と息巻いたが、優先順位は、コロナ収束よりも政権維持なのだろう。そして麻生太郎財務相にいたっては、19日の閣議後記者会見で「マスクはいつまでやることになってるのか」と記者に聞く始末だ。完全にコロナ対策が他人事である。逆に聞きたい。「あなたがたはいつまでその暴政を続けるのか」と。(尹史承)