週刊金曜日 編集後記

1323号

▼今回の奨学金の記事には盛り込めなかったが、ある大学では授業料の減免措置があるものの、「奨学金を受けていないと対象になりにくい」という話を学生から聞いた。つまり奨学金という借金を抱えてからでないと、減免対象になりにくいのだ。おい、順番が逆だろうとつっこみたくなる。そのうえ「一括請求」などされたら......。
 学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が公表した後期の実態調査では、「身体・精神ともに疲労感や問題を訴えている学生が多い」。昨年の小中高生の自殺が過去最多だったことを考えると、コロナ禍で子どもたちに回されたツケはどれほどのものだったか。FREEでは今月、あらたな調査をスタートさせる予定だ。
 3月12日号で紹介した画家、山内若菜さんの作品「牧場 放」が第8回東山魁夷記念日経日本画大賞に入選した! 作品は5月27日~6月6日、上野の森美術館で展示される。これにともない原爆の図丸木美術館では、会期中だが展示替えとなる。(吉田亮子)

▼弊誌が提携している「ワセダクロニクル」が3月8日、「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」に名称を変え、再出発しました。
 ワセダクロニクルは2017年2月1日、早稲田大学ジャーナリズム研究所のプロジェクトとして創刊。18年2月に特定非営利活動法人として早稲田大学から独立しましたが、名前はそのまま変えずに活動していました。創刊5年目となる今年、心機一転の名称変更だそうです。
 Tansa公式サイトは次のように決意を示しています。(URL・https://tansajp.org/information/8068/
〈探査報道に打ち込むことは、これからも変わりません。その決意を込めて「Tansa」と改称しました。非営利メディアとして独立性を貫くことも、国際連携に力を入れることも変わりません〉
 新生Tansaの連載を今号から再開します。テーマは「製薬マネーと医師」。医師たちの知られざる副収入を追います。命の大切さにこだわるTansaならではの記事にご期待ください。(伊田浩之)

▼弾圧や対立が激化するビルマ(ミャンマー)の状況と合わせて、日本の難民認定制度について考えるイベントがあった。ゲストの渡邉彰吾弁護士は、現在ビルマで警官とその家族、軍関係者、連行される恐れのある市民が越境して逃げていることに触れ、こうした人々が日本にたどりついた時、保護されるべきだと言及。しかし現在の日本の制度はかれらを難民として保護できないばかりか、日本国内でもかれらを"迫害"状況に追い込んでいるとし、今国会で審議される入管法改正案はこの状況をさらに悪化させると懸念した。日本で2004年に難民認定された在日ビルマ人のアウンミャッウィンさんは、認定されるまでに、入国管理局(当時)による2年以上の長期収容や仮放免(一時的に収容を解かれる措置)など、日本でも"迫害"の苦しみがあったと語り、日本は今のビルマの現実をみるべきだと訴えた。3月28日に開催されたPACO主催の「軍事クーデターのその後に」と題する同イベントは現在、ユーチューブで視聴できるという。(渡部睦美)

▼先日、JRA新人女性騎手が初勝利を挙げた。今年は2人女性騎手が誕生したが、もっと増えていい。女性が勝ったからと注目されるのではなく、ダービー騎手になってニュースになってほしい。競馬界は今年も桜花賞、皐月賞へと続く春のG?シリ―ズが始まった。残念なのは、武豊騎手が骨折して騎乗できなくなったことだ。
 私が競馬に、はまるきっかけは、武騎手だった。1991年東京競馬場、秋の天皇賞。武豊騎乗のメジロマックイーンは1着で入線したが、斜行したため降着、2着のプレクラスニーが繰り上がりで1着になった。幸運にもメジロを買わずプレクラスニーから馬券を買っていた私は的中となった。それ以来、味をしめて「武はずし」の馬券をしばしば買うことになる。
 そして2021年中山競馬場、中山牝馬ステークス。逃げるロザムールに並びかけるフェアリーポルカ。決まったか。いや外から猛然と追い込んでくる馬が......。ランブリングアレーだ、武豊だ。はずれた残念と思いきや、買っててよかった武豊だった。(原口広矢)