1383号
2022年07月01日
▼6月20日に開票された東京都杉並区の区長選挙で、NGO研究員で野党統一候補の岸本聡子さん(47歳)が、自公が支援した現職の田中良さん(61歳、当選3回)を破り、当選しました。票差はわずか187票です。
6月18日夜に開かれた岸本さんの「マイク納め」は熱気があふれていました。西荻窪駅北口は「杉並区初の女性区長を」「みんなでつくるみんなのまち」ののぼりが林立。人々の区政に対する要望を岸本さんは路上に座って聞いていました。候補者が話すだけでなく、支援者の訴えに耳を傾けるのは貴重な光景です。有権者の訴えを受け入れて選挙中に政策をバージョンアップさせるなど、「岸本さんなら私たちの声を聞いてくれる」との期待が広がりました。
野党共闘もありましたが、「自分たちの選挙」として有権者が取り組んだことが勝利につながったのだと思います。投票率は約5ポイント上がりました。岸本さんが今後、どのような区政運営をしていくのか、お話を聞きにいきたいと考えています。(伊田浩之)
▼「選挙に行こう」関連のメッセージの中で、毎回見入ってしまうものの一つは、2005年に放送されたドラマ「女王の教室」のセリフがピックアップされたものだ。
「日本という国は、そういう特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。そういう特権階級の人たちがあなたたちに何を望んでいるか知ってる? 今のまま、ず〜っと愚かでいてくれればいいの。世の中の仕組みや不公平なんかに気付かず、TVや漫画でもぼ〜っと見て何も考えず、会社に入ったら上司のいうことをおとなしく聞いて、戦争が始まったら、真っ先に危険なところへ行って戦ってくればいいの」
5月の消費者物価指数は昨年より2・1%上昇し、9カ月連続で上昇しているが、自公は決して消費税減税には触れない。生活苦への対策はおろそかのまま、防衛費増額や改憲発議される心配もある。入管法改訂案再提出の危険もあるが、入管法の対象となる人たちは投票もできないのだ。(渡部睦美)
▼今週号の表2は、連載をお休みして、表紙に使用した富山妙子さんの絵画をノートリミングで掲載しました。心がザワザワと揺さぶられます。そしてこの号より「きんようアンテナ」が再び4ページに戻ります。ニュース原稿は時間との戦いで担当者は大変ですが、より充実した誌面になるよう期待してます。さらにこの「金曜日から」も今週号から行間を微調整して少し読みやすくしました。定期購読の方はお気づきかもしれませんが、隣の表3「定期購読のお申し込み方法」も6月3日号からレイアウトを変更しています。
創刊時からのバトンを引き継ぎながら、多くの人がこの雑誌に関わってきました。バックナンバーを見ると、時期によって仕上がりの空気感が異なります。やはり企画は人なのだな、と思う次第です。
老舗の料理店に行くと期待通りの「変わらなさ」にホッとすることがありますが、実は時代に合わせてより美味しく更新(進化)し続けている店が結果として老舗になっていくのではなかろうかと、最近、気がつきました。(本田政昭)
▼6月17日、東京・港区の「文教堂書店赤坂店」が閉店し、赤坂駅周辺から一般書店が消滅することを他メディアが取り上げた。前職の書店販促で赤坂を担当していたことがある。「イグレク書房」、「文鳥堂」、「金松堂」等々、個性豊かな書店がすみ分けながら営業していた。その当時、まだ文教堂は開店しておらず「27年間ありがとう」の時の流れに、気が遠くなってしまったが、転職して早々『増補版 電通の正体』を売り伸ばしてくれたことは忘れていない。
同店閉店のお知らせで「書店は世の中に街に必要とされなくなっているのか?」の問題提起も話題になった。"書店は社会を映す鏡であり文化、地域コミュニティのハブとなり得るインフラ"との持論から私の答えは「否」である。直販の定期購読を主体とする雑誌社の営業担当の言葉として違和感を覚える向きもあるだろう。それでも書店のない世の中に幸せな未来が待っているとは、思えないのだ。フランスのような「書店の保護」を目的とした法の制定も必要ではないだろうか。(町田明穂)