週刊金曜日 編集後記

1410号

▼1月24日、アメリカの科学雑誌が「人類最後の日」までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」について、過去最も短い「残り1分30秒」と発表した。ロシアによるウクライナ侵攻が判断に大きな影響を与えたという。事故や誤算によって紛争が拡大すれば誰の手にも負えなくなる可能性も指摘される。

 加えて地球規模の気候変動による被害が世界各地で起こっていることも要因のひとつ。今週は日本の上空に強い寒気が流れ込み、東京でも突風のような冷たい風が吹いた。各地で大雪による被害や事故・災害等も報告されている。

 先日、編集部の入居しているビルの空調が故障し、その日は一日中暖房なしで過ごした。コロナ対策で窓を少し開け、寒い中で仕事をした。ウクライナの人たちが直面している極寒の現実を(少しだけ)想像する。人類は「残り1分30秒」という前例のない危険な状態にある。世界はこの現実を越えられるだろうか。(本田政昭)

▼ある難民申請中の家族の話。親とともに幼少期に日本にやってきた子どもも難民申請中だが、家族みな仮放免(一時的に収容が解かれる措置)の立場。ときに子どもの保護者代わりとして学校に面談に行ったりしながら付き合ってきたが、この冬に学校をドロップアウトしてしまった。学校が仮放免の立場に無理解ということ、お金の問題、いじめなど要因はさまざまにある。ただ、やはり悪の根源は、人間として生きるためのあらゆる権利を剥奪する仮放免制度だ。日本の難民認定制度、ひいては入管行政の問題については、国連からも勧告を受けてきている。だが、そんな中で、政府は約2年前に大抗議が起きて廃案となった入管法改定案を、大枠を維持した状態で今国会に再提出する方針だ。

 名古屋入管で亡くなったウィシュマさんの問題もまったく解決しておらず、遺族の姉妹は今も日本に滞在して国を相手取り裁判中だ。ウィシュマさんの収容中の様子を映したビデオ映像を法廷内で上映することについて、国は反対しているが、入管の密室で起きたことが隠されたまま、法案提出がなされるのは言語道断だ。(渡部睦美)

▼先日この欄で、「銀歯のかぶせものを作り直したら、銀が高くてビックリした」とぼやきましたところ、歯科医の読者さんからその事情を解説するお手紙が届きました。歯科の治療に使われる金属の価格は、これまで半年に一度改定が行なわれていたそうですが、昨年来のウクライナ戦争や円安で半年に一度ペースでは間に合わず、3カ月に一度の改定になっているそうです。それで急激に値段が上がり、ビックリされたのでは?――ということでした。

 なるほどー。そういうわけでしたか。治療に使われる金属の値段がどう決まるのかなんて、これまで全然知りませんでした。知らなかったことを教えていただけた幸せを感じております。ありがとうございました。

 歯医者さんといえば、私が通っている歯医者さんは一昨年に移転したのですが、その移転祝いの胡蝶蘭をもらい受け、わが家で育てています。今、花茎が出ていて、これからが楽しみです。移転祝いにいただくことが多い胡蝶蘭ですが、花が終わっても、ぜひ捨てずに育ててみてくださいな。 (渡辺妙子)

▼沖縄に行くことにしました。傘寿を迎えた義父が、「おそらく最後の家族旅行」ということで企画してくれたのです。パートナーは、「南西諸島の軍事化や辺野古新基地建設などがあるので気軽に楽しめないかも」と言いますが、(豪遊はできないにしても)観光で沖縄に貢献するのも大切だと話しました。

 沖縄県の公式サイトによると、〈基地経済への依存度は、昭和47年の復帰直後の15・5%から平成28年度には5・3%と大幅に低下してい〉るそうですが、戦場になる危険性が高まるほど、観光客も来なくなるのではないかと思います。

 さて、泊まれる予算ではないのですが、好奇心から1泊2人で60万円近い超高級リゾートを検索したところ、なんと満室でした。貧富の拡大とともに日本にも富裕層が誕生していることを実感しました。

「家族旅行」ではありますが、さまざまな場所を訪れるなどして、仕事にもつながることを楽しみにしています。(伊田浩之)