週刊金曜日 編集後記

1453号

▼11月24日号に掲載した古謝美佐子さんのインタビュー記事で新アルバムから「ウチナーUCHINA」の歌詞を掲載しました。著作者である佐原一哉さんのご了解を得ていると思い込んでいましたが、私の勘違いでした。この場を借りて深くお詫びいたします。

 佐原さんは、「お聴きになられたらわかると思いますが、古謝美佐子の優しい歌声や楽曲のメロディと伴奏そのほか色々な目に見えない要素が過激なメッセージを上書きし、沖縄の人の心を優しく多くの人の心に奥深く届けるのが、文字のみと違った音楽の良いところだと思っております」と指摘しています。つまり、歌詞のみでは音楽の全体像を伝えられないどころか、誤解を招くということです。

 ですから、古謝さんの新アルバムに関心を持たれた方は、ぜひ音楽を聴いていただければと思います。また、「ウチナーUCHINA」の短いバージョンはユーチューブにも掲載されています。

 歌詞は、電子版からは削除させていただきます。(伊田浩之)

▼オスプレイ墜落事故の報に重大な続報がなされ、いささか混乱。ともあれ危険をこれ以上放置できない。11月3日号で陸自オスプレイの石垣島初飛来を取り上げている。筆者は吉田敬三さん。石垣に移住された写真家だ。空自のC―2輸送機から米軍車両が上陸する瞬間も撮影されたが、これはまったくの「偶然」という。復帰後の石垣への上陸は初めてとのことだが、各地に詳しい写真家がいるのは心強い。

 吉田さんは被爆2世の肖像を20年撮り続けている。ご自身も被爆2世だ。31都道府県130人を超える方々を撮影し、各地で写真展を開催してきた。誌面でも紹介したが、思い思いの撮影場所でのワンショットに、いろんなことを考えさせられた。今度、自費出版で写真集を出すという。クラウドファンディングも始まった。

https://motion-gallery.net/projects/hibaku2sei

 うまくいってほしい。(小林和子)

▼全国に13カ所ある国立ハンセン病療養所で作られた園歌を研究している歌手の沢知恵さんが「療養所の最後をどう見届けるのか」「納骨堂をどう守っていくのか」、いま議論しなければとあせっている。それもそのはず、療養所の入所者は1950年代の約1万2000人をピークに、現在は800人を切り、高齢化も進んでいる。

 10月に東京で行なわれたライブでは、最新アルバム『花はどこへ行った』に収録されている岡山県・長島愛生園の園歌「愛生園挽歌」を披露。仲間を弔うための歌だそうで、讃美歌のような、どこかなつかしい感じがした。インタビュー時もそうだったが、沢さんの声の響きは本当に心地がよい。

 ライブの最後には、今号で紹介した祖父・金素雲さんが自身の体験を綴ったエッセイ「真新しい名刺」を朗読。こちらは中川五郎さんが歌にしている。(吉田亮子)

▼某月某日、某音楽フェスに行った。会場に着いてビックリ。若い女の子たちでいっぱい。そのフェスにスマイルアップ(旧ジャニーズ事務所)所属の某グループが出演するのは知っていたが、フェスじゃなくて彼らのコンサート会場なんじゃないかと思うくらい、女の子だらけだった。当然トリ確定。

 某月某日、某映画を観に行った。映画館に着いてビックリ。若い女の子たちでいっぱい。着いてから知ったが、その日はスマイルアップ所属の某タレントが主演する映画の公開初日だった。みなさん、ポスターや等身大パネルを背景にチケットを写し込む「映え」写真を撮って楽しそう。あまりの混雑に、映画館側も開場時間を繰り上げるとのアナウンス。どどっと人が動き、ロビーはあっという間に静かになった。

 メディアが何と言おうと、「ジャニーズ経済、健在なり」を実感した出来事でした。(渡辺妙子)