1456号
2024年01月19日
▼国と東京都は1月10日、軍事転用可能な機械を不正輸出したとして逮捕・起訴され、後に起訴が取り消された機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の大川原正明社長(74歳)らが国家賠償を求めた訴訟で、計約1億6000万円の支払いを命じた昨年12月の東京地裁判決(本誌1月12日号参照)を不服として、東京高裁に控訴しました。同社側も控訴しました。
『東京新聞』によると、〈東京地検の新河隆志次席検事は「判決内容を検討し、上級審の判断を仰ぐことにした」との談話を出した〉そうです。訴訟では、警視庁公安部の捜査員が証人尋問で「(事件は)捏造」と証言しているのに、警視庁も検察も謝罪するどころか、開き直っているようにみえます。
自民党の裏金問題では「検察頑張れ」との声援を聞きますが、検察は"事件をつくる"ことがあることも理解する必要があります。
今週号で登場いただいた小沢一郎さんも、検察やメディアから執拗な攻撃を受けましたが、無罪判決を得ました。検察権力についても私たちはていねいにチェックする必要があります。(伊田浩之)
▼連日の報道で能登半島地震被災地への長期的支援の必要性を感じた。それにしても驚くべき映像を見た。今月12日12時半、沖縄県庁前で自民党が被災地への募金協力を呼び掛ける光景だ。「襟をたださなければいけないことも多い」が、今は被災地支援が最優先、募金協力をと。くらくらする。
そもそも国の第一党が募金を呼び掛けている場合か。政策として取り組むべきところを募金で"やってる感"を出そうとしている疑惑。被災地に5日に入り聞き取りをした山本太郎議員(首相は14日)へのバッシングが起きた時にも感じたが、議員の本分、政治の役割をはき違えていはしまいか。
二つ目、自民党の裏金問題をうやむやにして、それを「エクスキューズ」しようとしている疑惑。
三つ目。国の代執行で大浦湾側への土砂投入が始まった辺野古新基地建設工事について、具志堅隆松さんが10日~12日、県庁前でハンストを行なっていた。その真ん前に自民党がやってきて能登地震募金協力を呼び掛けたことだ。人だかりのするお昼の時間が終わる頃には、街宣車は撤収したという。なんとも醜悪すぎる。(小林和子)
▼年が明けたばかりだというのに、いろいろな事が立て続けに起きた。まずは、このたびの能登半島地震で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
1日に能登半島地震、2日に日航機と海保機の衝突炎上事故、3日に北九州市小倉の大規模火災が起きた。8日には故田中角栄元首相宅が全焼した。あの「目白御殿」だ。角栄氏がコイにえさをまく姿を思い出す。田中眞紀子元外相、田中直紀元防衛相夫妻が住んでいた。「答弁を差し控える、じゃあ国会議員になるのを差し控えた方がいい」と先月久しぶりに記者会見で政権を批判した眞紀子さん、避難して無事でよかった。
奇しくも自民党の裏金疑惑絡みで現職の国会議員が逮捕された。自民党の金権体質はロッキード事件、リクルート事件から何一つ変わっていない。ちなみに、リクルート事件で失脚した故竹下登元首相の孫は、正月のテレビ番組で「カツオ漬け」と「マグロ漬け」のすしを見分けられない失態を演じた。いつも料理番組に出演しているのに残念だが、面白かったよDAIGOさん、ウィッシュ。(原口広矢)
▼「言葉の広場」の2月のテーマは「新型コロナ」です。元日に起きた能登半島地震では、コロナの流行が懸念されています。
1月26日号の特集で「こども食堂」を取り上げますが、コロナ禍により「会食をやめて宅配に切り替えた」「休止した」などの話を聞きました。ただ、それでこども食堂が減ったかといえば、2023年は過去最大の増となったそうです。現在、全国で9131カ所のこども食堂が開店しています。
実際、「コロナ禍では見えない問題が見えるようになって、いろんな角度からおせっかいすることで、たくさんの交流が生まれました。課題に取り組むという連鎖ができ、すごく豊かで強い街になったと思います」と、逆にコロナを力に変えた話も聞きました。
今回の特集取材を、知り合いの記者や本誌に寄稿してもらっているジャーナリストに伝えたところ、「周りにもこども食堂が多く、私も一つ参加しているところがあります」「〇〇さんがこども食堂を手伝っている様子を発信していますよ」などと教えてくれました。
これは、特集の第2弾が必要ということでしょうか。(秋山晴康)