1478号
2024年06月28日
▼東京都知事選が6月20日に告示され、7月7日の投開票に向け、選挙戦が繰り広げられている。
今回は前回4年前を上回る56人もの大量の立候補者となった。こう言っては失礼かもしれないが、はたして本気で当選を目指し、都政を担う心構えがある人がどれだけいるのだろうか、と疑問に感じてしまう。報道によると、「選挙に出た」ということを知名度アップにつなげ、ネットなどを使ったビジネスの箔付けにしたい思惑があり、300万円の供託金を没収されてもモトが取れるのだという。むろん条件が整えば立候補する権利はあるのだが、選挙本来の趣旨からは外れているように思う。
都政の課題は多い。異例さが目立つ選挙戦でも、質の高い論戦を期待したい。都にとくに力を入れてほしいのは防災。首都直下地震や南海トラフ巨大地震への備えとして、木造住宅が密集するエリアの防火、帰宅困難者対策、医療・救護、起きた後の復旧など行政の役割は大きい。主要候補者の街頭演説に足を運び、主張に耳を傾けたいと思う。(小川直樹)
▼夏到来ということで、ネットで見つけたのは医療に頼る「メディカルダイエット」の解説記事。冒頭で紹介されていたのは「インスリン分泌を促すことで満腹感を得たり、食欲抑制効果もある」として「GLP―1受容体作動薬」、昨年3月承認の「ウゴービ」である。じつはこれ、5月に弊社で出版した『増補版 ひとめでわかるのんではいけない薬 大事典』で浜六郎医師が「危険」と評価したもの。理由を知れば、「使うべきではありません」に納得だった。
本書の特徴は、病気が起こる仕組みや、薬に頼らずに治す方法もしっかりと書かれていることだ。そして浜医師は、適切な食事と運動、ストレスをためない、睡眠剤に頼らず十分な睡眠が大切だと繰り返す。生き方を変えたら?と言われているように聞こえてくる。
そんな浜医師が、今号の特集「必要な薬が足りない!」で執筆。薬が手に入らない現状に「ええ機会やから、使わんでええ薬を使わんようにしたらええんやないか?」と。K部員担当のこちらの記事もぜひどうぞ。(吉田亮子)
▼上映中の映画『骨を掘る男』は、沖縄で遺骨収集ボランティアを続ける具志堅隆松さん(70歳)の姿を追う作品だ。奥間勝也監督(39歳)へのインタビュー(本誌6月21日号掲載)で、筆者は「暗いガマの中で具志堅さんが『戦没者に対する最大の慰霊は二度と戦争を起こさせないこと』とおっしゃっていましたが......」と言いかけた際、自分の記憶が曖昧だったことから「あれ、監督がナレーションで言ったのかな?」と言葉を継いだ。
実際は具志堅さんの言葉だった。だが、監督は「僕もね、家に帰って(映像)素材を見た時に『これ、具志堅さんが言ってないかもな』と感じたんですよ」と当時を振り返った。「戦没者が後ろにまだ眠っているかもしれない、あの暗闇の中で音だけが聞こえてきて。具志堅さんだけの言葉ではない......具志堅さんの人称を離れた声になっているかもしれない」と。
映画館の暗闇で、真っ暗なガマの中を覗く。沖縄戦戦没者の声なき声に耳を傾ける具志堅さんの行動的慰霊を疑似体験できる場がそこにあるようだ。(平畑玄洋)
▼小誌発行人兼社長、植村隆のトレードマークは眼鏡です。といっても高級ブランドでもなければ奇抜な色やデザインでもありません。せっかくかけた眼鏡を、すぐにおでこに上げてしまうのです。昨年の創刊イベントでもセッションの司会と最後のあいさつを、おでこに眼鏡を上げて務めていました。これでは視力矯正になりません。
ただ、おでこ眼鏡の植村がにっこり微笑むと、実に愛嬌のあるいい顔になります。この顔で約6年間、『週刊金曜日』の広告塔として全国を手弁当で走り回ってきました。とくにこの1年間余は、「週刊金曜日サポーターズ」の顔として、サイトやチラシにも登場してきました。おかげでクレジット決済や郵便振替でたくさんのサポートをいただき、小誌のメディア力強化と今期決算に貢献しました。
7月から小誌は新年度。その最初の7月5日号に、チラシのリニューアル版が定期購読者に同封されます。「『週刊金曜日』をサポーターとして支えていただけませんか」と、おでこ眼鏡の植村が再び微笑みます。(円谷英夫)