週刊金曜日 編集後記

1490号

▼「さようなら原発全国集会」が9月16日、東京・代々木公園で約5000人(主催者発表)が参加して開かれました(きんようアンテナ参照)。参加者らは会場周辺を2コースに分かれてデモ行進し、原発反対などを訴えました。

 登壇した落合恵子さんや佐高信さん、鎌田慧さんらと、楽屋やデモの後で、ゆっくり話すことができました。本多勝一編集委員の退任に関して、佐高さん自身もかつて本多さんを強く慰留していたと聞きました。知りませんでした。9月6日号での説明に補足します。

 編集委員を退任された佐高さんと落合さんですが、白崎映美さんとの対談や、絵本特集で登場していただいたことはご存じの通りです。お話を通じて『週刊金曜日』の現状を心配していることがとても伝わってきました。感謝で胸が熱くなりました。

 鎌田慧さんは、重要作品を自選した『鎌田慧セレクション 現代の記録』(全12巻、皓星社)の刊行が9月から始まりました。どういったかたちで紹介できるかを検討しています。(伊田浩之)

▼死者58人、行方不明者5人を出した御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火災害から9月27日で10年。新聞記者時代、噴火2年後から4年間、松本で勤務し、山頂への立ち入り規制解除や不明者捜索、犠牲者追悼式などを取材した。

 今、山頂には避難用シェルターが設置され、安全な登山を啓発する「御嶽山火山マイスター」(長野県が認定)という人たちが活動をしている。同県木曽町と王滝村に1カ所ずつ、御嶽山の自然や噴火災害を伝える施設「御嶽山ビジターセンター」ができた。

 そうしたソフト、ハードの対策が進んでも、近年はいかに風化を防ぐかが課題だという。長野発の報道によると、ヘルメットを持参せずに登る人が目立つと聞く。シェルターがあっても、噴火が起きれば全員がとっさに入れるわけではない。御嶽山に限らず、富士山などでも外国人登山者が増え、軽装で登ろうとする人がいるというニュースをよく見る。山は突然、人間に牙をむくことがある。今改めて自然の怖さを認識する必要があるだろう。(小川直樹)

▼フリーの物書きとしての経歴が長かったこともあるのか、たまに何かのニュースに絡んで「あれ、お前じゃないよね?」と聞かれることがある。約20年前、同年代のフリーライターの惨殺死体が東京湾に浮かんだ事件があった時にも「お前じゃないよね?」と電話口で聞かれた覚えが。

 殺されたのがお前か否かを直接話してる相手に聞いてどーすんだよ! って話だが、以後も自宅のある東京・中野区のどこかで火事が起きたとかいうニュースが出ると「気になったんで」と生存確認が入ることが数回。しかし先日、中野駅前の新築タワマンで男性が殺害された後は「奴がタワマンに住めるわけがない」ということからか、その種の反響は皆無(よく20代でそんな家に住めたよね)。

 約10年前、同姓同名の大手企業社長が亡くなられた時は知人から「亡くなったの岩本さんですか」と知人に聞かれ「岩本さんです」と即答(事実だもん)。メディアで拡散する情報は、友人知人との間でも時にこうした不思議な会話を惹起するのだった。(岩本太郎)

▼ネコ1 種類=イエネコ、模様=キジトラ、特徴=尻尾はまっすぐ、目は黄色。人が好き、声が大きい、固太り、手先が不器用。オス。

 ネコ2 種類=イエネコ、模様=キジトラ、特徴=尻尾はまっすぐ、目は黄色。人が嫌い、声が小さい、ふにゃふにゃ、素早いネコパンチ。メス。

 わが家という狭い宇宙で暮らしている2匹、同じネコという生きもので、誕生日が同じ。しかも兄妹(姉弟かも)なのに、いやはや全然違う。ネコにだって個性はある。1匹1匹違っている。兄弟だって違うんだから、違う親から生まれて、違う場所で、違う年代に育ったら違って当たり前。そして、ヒトだって個性はある。一人ひとり違っている。考え方も、全然違う。自分の当たり前は、その人の当たり前じゃない。

 そんなこと、ほんとにみんな知っていること、でも忘れてしまいがちなことを食卓の上を占領して毎日思い出させてくれるネコ1&2。ありがとう。大好きだよ。

(志水邦江)