1511号
2025年03月07日
▼国連が3月8日を国際女性デーと決めてから今年で50年。この間、世界の動きは、女性差別の撤廃を目指すとともに、すべてのジェンダーの平等や多様性のある社会を目指して進んでいたはずだ。だがトランプ米大統領が就任し、「性別は男と女のみ」という性別二元論を打ち出して多様なジェンダーを否定。不寛容な社会へと退行しつつある。また、人工妊娠中絶手術に関することに連邦政府の資金支出を禁じたことで、世界的な悪影響は計り知れない。
この厳しい現実を、今週号の国際女性デー特集で登場する方たちは十分認識しており、楽観視はしていない。それでも「多様なジェンダーを包摂し、すべてのジェンダーの人が生きやすい社会」を目指し、国内外の市民との連帯が道を切り開くことを信じて歩んでいる。
為政者の権力を前にすれば、市民の力は無にも等しいだろう。でもまったくの無力ではない。寛容な世界を目指す連帯の力を、私も信じている。(宮本有紀)
▼帰宅時に最寄り駅近くのスーパーの米売り場を覗くのが日課となりました。どうやら政府が備蓄米を放出する方針を示しても、米の値段は高止まりしたまま。弁当を用意するのも難儀な時代になるとは思いませんでした。そして久しぶりに立ち食い蕎麦で腹を満たそうと思い、500円玉を握りしめ暖簾をくぐると券売機を前にしてやはりため息が......そうか! もう「かき揚げそば」に「玉子」をトッピングしたら「ワンコイン」で済ますことは無理なんですね。本来なら困窮の状況下に抗えればいいのですが、4月4日号から定価ならびに定期購読料金を改定させていただきます。読者のみなさまにはさらに負担を増やすことになってしまい心苦しい限りです。今回上げ幅が大きく、理解を示される方がいる一方、お叱りの意見も頂戴しました。これを機に購読を中止される方もいらっしゃいます。誌面の質を上げてお応えするしかございません。(町田明穂)
▼2月21日から24日まで北海道の小樽に行ってきました。本社前社長の植村隆さんが主催した「多喜二祭」に参加するためです。『蟹工船』で有名なプロレタリア作家の小林多喜二が特高の拷問で虐殺されたのが1933年2月20日。命日の翌々日の22日に前夜祭として、北海道放送制作のドキュメンタリーを観賞し、小樽在住で読者会メンバーの高橋明子さんが話されました。その後は会場の小樽多喜二ハウスで宴会。
メインは翌23日。多喜二が資金を出して建てた小林家の墓と小林多喜二文学碑を訪れました。神戸、和歌山、奈良から来た本誌読者、そして小樽読者会のメンバーらが参加。夏とは違い雪の中をスノーシューで歩くスノートレッキング。墓には全員で行きましたが、文学碑へは私を含めて5人が参加しました。大変でしたが、楽しかったです。詳細は近々サポーターズ通信でレポートする予定です。(文聖姫)
▼ただいまNHKで放映中の「東京サラダボウル」がおもしろいです。国際捜査警察官の鴻田と、中国語通訳人の有木野のコンビが、外国人がらみの事件を解決していく――ざっくり言えばこんな感じのドラマです。東京を、多くの外国人が暮らし、さまざまな言葉や文化、食が同居する「サラダボウル」のようだと表現し、ボウルからこぼれ落ちてしまいそうな人々の人生が描かれていきます。そして有木野自身が同性愛者であるということで、ドラマに深みを与えています。外国人だけじゃない、「サラダボウル」はすべての人――というメッセージを受け取った気がしました。
鴻田が追っているのが中国黒社会組織「ボランティア」ということで、劇中は中国系俳優が多く登場し、中国語のせりふが圧倒的に多い。こんなに中国語が飛び交うドラマって、これまでなかったのではないでしょうか。今号が出るころには放送終了。終わってほしくなかったなー。(渡辺妙子)